Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
産婦人科 母体・分娩①

(S719)

腹腔鏡超音波での仙骨岬角前面の術中評価法-腹腔鏡下仙骨腟固定術を安全に行うために

Intraoperative assessment of the sacral promontory front in laparoscopic ultrasound - In order to safely perform the laparoscopic sacrocolpopexy

岡田 義之, 石川 哲也, 三村 貴志, 瀬尾 晃平, 中林 誠, 宮本 真豪, 関沢 明彦

Yoshiyuki OKADA, Tetsuya ISHIKAWA, Takashi MIMURA, Kohei SEO, Makoto NAKABAYASHI, Shingo MIYAMOTO, Akihiko SEKIZAWA

昭和大学産婦人科

Obstetrics and Gynecology, Showa University School of Medicine

キーワード :

【目的】
骨盤臓器脱に対する治療法として腹腔鏡下仙骨腟固定術(laparoscopic sacrocolpopexy; LSC)が普及しつつある.術後に腟の狭窄や短縮や解剖学的な偏倚が生じにくく,また適応症例も広く,再発症例や子宮温存希望症例に対しても可能である.一方,腹腔鏡手術による特徴として,骨盤深部到達能や映像拡大能に優れており解剖学的構築をより明確にしながら手術を進めることができる反面,術中に直接臓器を触ることができないため,間接的にしか組織や血管の状態を把握できない欠点がある.
LSCは,腟上部切断術で子宮体部を摘出し,前腟壁は膀胱尿道移行部まで,後腟壁は肛門挙筋まで剝離を行い,ダブルメッシュを用いて前後腟壁の固定を行う.その後,腹膜下トンネルを利用し仙骨岬角前面の前縦靱帯へとメッシュを牽引固定する.メッシュの固定部位である岬角前面には,頭側に大動脈分岐部と左総腸骨静脈が,また,両側方には総腸骨動脈および尿管が存在する.そのため,岬角前面にメッシュを固定する際はそれらの位置を正確に把握する必要があるが,患者は高齢者に多く,血管の蛇行や仙骨の変形症例が見られ,メッシュの仙骨固定に苦慮する症例にしばしば遭遇する.今回我々は,手術中に腹腔鏡超音波を利用することで,血管,組織の解剖学的位置関係を把握し,より安全に手術を遂行できたのでその経験を報告する.
【症例1】
68歳2G2P.身長151cm,体重58kg.既往歴に高脂血症,虫垂炎の手術歴あり.腹腔鏡超音波にて明らかな血管の蛇行・偏位なし.仙骨岬角前面の左右の総腸骨動静脈間の距離は28.9mmであり,血管がない岬角前面に2針でメッシュを固定した.その際,同部からの出血は認めなかった.術中大きな問題なく安全に手術を完結した.
【症例2】
64歳3G3P.身長153cm,体重60kg.既往歴に糖尿病,高血圧,虫垂炎の手術歴あり.総腸骨動脈の蛇行あり,仙骨岬角前面の左右総腸骨動静脈間の距離は15.8mmと狭く,血管損傷の危険が高いと判断した.岬角前面へのメッシュ固定は血管を避けて1針のみとし,周囲血管への損傷なくメッシュ固定できた.その他特に合併症なく手術を完結できた.
【考察】
仙骨岬角前面の血管の走行は,腹腔鏡での通常の観察では確認し辛く,損傷すると止血が困難となる.術中に腹腔鏡超音波検査を行うことで仙骨岬角前面の血管の走行を確認し,血管損傷を回避しながら安全に手術を遂行できることを示した.今後も症例を増やして術中腹腔鏡超音波の有用性を検討していきたい.