Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
産婦人科 母体・分娩①

(S718)

切迫早産による安静臥床が母体筋肉に与える影響

Effect of bed rest on quadriceps femoris muscle thickness in pregnant and postpartum women

髙橋 洋平, 加地 剛, 安井 敏之, 七條 あつ子, 米谷 直人, 中山 聡一朗, 苛原 稔

Yohei TAKAHASHI, Takashi KAJI, Toshiyuki YASUI, Atsuko HICHIJO, Naoto YONETANI, Soichiro NAKAYAMA, Minoru IRAHARA

徳島大学病院産科婦人科

Department of Obstetrics and Gynecology, Tokushima University Hospital

キーワード :

【目的】
早産とは妊娠22週以降37週未満の分娩である.早産では出生児の生命予後,神経学的予後の悪化が問題となる.従って産婦人科領域では早産の予防,早産の前段階である切迫早産の管理が重要な課題となっている.本邦において,切迫早産の管理方法として長期安静臥床が広く行われるが,近年,切迫早産妊婦に対する安静臥床により有害事象が発生することが報告されている.一般に,非妊婦で長期安静臥床を行った場合,筋の萎縮が起きることが知られている.しかし,妊娠女性においては,安静臥床による筋肉への影響に関する知見は乏しい.
本研究では妊婦に対し切迫早産管理のために安静臥床を行った場合,筋肉がどのような影響を受けるかということを目的とした.まず,正常妊婦での大腿四頭筋筋肉厚の推移を検討した(研究1).次に,安静臥床を行った妊婦と正常妊婦での大腿四頭筋筋肉厚を前方視的に比較した(研究2).
【対象と方法】
(研究1)2013年10月からの2015年9月までの2年間で,当科で妊娠初期より管理した正常妊婦23例(正常群)で妊娠初期(11から13週),26週,30週,35週,産褥早期(産後1から5日目),産褥1ヶ月の6時点で大腿四頭筋6部位(大腿直筋の近位・中間・遠位,中間広筋の近位・中間・遠位)における筋肉厚を超音波で測定した.研究1では正常群において,各測定部位での筋肉厚の妊娠週数別の変化を縦断的に検討した.(研究2)同研究期間に切迫早産治療のため妊娠30週未満に入院し,安静臥床管理を行い,妊娠35週以降に分娩となった妊婦(安静臥床群)11例で妊娠30週,35週,産褥早期(産後1から5日目),産褥1ヶ月の4時点に同部位の筋肉厚を測定し,正常妊婦(対照群)23例と比較した.研究2では安静臥床群において,各測定部位での筋肉厚の妊娠週数別の変化を縦断的に検討し,また,対照群と横断的に比較検討した.なお,多胎,合併症妊娠例,ステロイド投与例,神経・筋疾患の既往のある例は除外した.統計学的解析は縦断的検討ではANOVAを使用し,横断的検討ではt検定を用い,p<0.05で有意差ありと判定した.本研究は徳島大学病院臨床研究倫理審査委員会の承認を受け(承認番号2037-1),被験者全てにインフォームドコンセントを行った.
【結果と考察】
(研究1)大腿直筋近位(p<0.01)・中間(p<0.001)・遠位(p<0.01),中間広筋近位(p<0.001)・中間(p<0.001)・遠位(p<0.001)と全ての部位で有意な差をもって変化した.妊娠35週において筋肉厚が妊娠初期より有意に増大し,産褥1ヶ月には妊娠初期と同程度まで減少した.(研究2)安静臥床群における縦断的検討では,大腿直筋中間・遠位,中間広筋近位・中間・遠位の5部位(p≧0.05)で変化に有意な差を認めなかった.対照群との横断的比較検討では,妊娠30週では対照群に比べて筋肉厚に差がなかったが,妊娠35週において中間広筋近位(p<0.05)・中間(p<0.05)で対照群より筋肉厚が有意に減少していた.一方,産褥期で差はなかった.
【結論】
妊娠により大腿四頭筋の筋肉厚は増大するが,切迫早産による安静臥床を行った場合,筋肉厚の増加は抑制される.