Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
産婦人科 新画像

(S717)

ラジアル式経直腸超音波検査による子宮内膜症のダグラス窩閉鎖の評価

A consideration toward practical use of transrectal radial ultrasound for Douglas’pouch obliteration of endometriosi

三村 貴志, 石川 哲也, 中林 誠, 岡田 義之, 瀬尾 晃平, 関沢 明彦

Takashi MIMURA, Tetsuya ISHIKAWA, Makoto NAKABAYASHI, Yoshiyuki OKADA, Kohei SEO, Akihiko SEKIZAWA

昭和大学産婦人科学講座

Obstetrics and Gynecology, Showa University School of Medicine

キーワード :

【はじめに】
子宮内膜症は良性疾患であるものの,組織の正常構造を破壊,浸潤し病巣が深部に進展していくことが知られているが,子宮内膜症の腹腔鏡下手術を行うにあたり,深部病変の術前診断は重要で,特にダグラス窩閉鎖を含めた状態の評価は,手術を安全に遂行するための重要な要素の1つである.ダグラス窩の状態評価については,経腟超音波検査やMRI検査において様々な報告がされている.ラジアル式経直腸超音波検査での報告は80年代にいくつかあったが,その後の報告はない.
【目的】
ラジアル式経直腸超音波検査によりダグラス窩の評価が可能かどうか明らかにすること.
【方法】
2015年12月に,当院で腹腔鏡下手術した子宮内膜症患者を対象に,術前にラジアル式経直腸超音波検査を行ない,経腟超音波検査と比較検討した.経腟超音波検査でのダグラス窩閉鎖の評価は後腟円蓋をプローベで押し直腸が動く“sliding sign”の有無で行った.経直腸超音波での評価は,直腸漿膜面の欠損の有無で行った.
【結果】
術前に施行した子宮内膜症の手術症例は5例で,そのうちダグラス窩が部分閉鎖していた症例が1例のみで,その他4例ではダグラス窩病変を認めなかった.また,ダグラス窩が完全閉鎖している症例も認めなかった.経腟超音波検査では,全症例でsliding signを認めた.経直腸超音波検査ではダグラス窩部分閉鎖症例について一部,直腸漿膜面の欠損を認めた.ダグラス窩病変のない症例では,直腸漿膜面が欠損なく描出可能であった.
【結論】
ラジアル式経直腸超音波検査は,ダグラス窩の直腸側の詳細な評価が可能であり,経腟超音波検査と同等かそれ以上にダグラス窩の状態を評価できる可能性がある.