Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
産婦人科 新画像

(S716)

Vidyo Systemを用いた胎児心臓超音波検査の遠隔ハンズオンセミナーの試み

A trial of the remote hands-on seminar for fetal echocardiography using Vidyo® System

田形 千寿子1, 窪谷 潔2, 川瀧 元良3, 山根 康嗣4, 冨山 雅弘5, 橋本 美智子6, 佐藤 一利7

Chizuko TAGATA1, Kiyoshi KUBONOYA2, Motoyoshi KAWATAKI3, Koji YAMANE4, Masahiro TOMIYAMA5, Michiko HASHIMOTO6, Kazutoshi SATO7

1窪谷産婦人科検査, 2窪谷産婦人科産婦人科, 3東北大医学系研究科融合医工学分野, 4株式会社NSDビジネス営業本部, 5丸紅情報システム株式会社ヘルスケア・メディカル事業開発, 6有限会社ビジョンブリッジ, 7株式会社トーク

1Laboratory, Kubonoya Ob./Gyn. Clinic, 2Ob./Gyn., Kubonoya Ob./Gyn. Clinic, 3Depertment of Obstetrics and Gynecology, Tohoku University, 4Business Sales Department, NSD CO.,LTD., 5Health Care・Medical Business Development Div, Marubeni Information System Co.,Ltd., 6Vision Bridge, LLC, 7TOOK Co.,Ltd.

キーワード :

【目的】
胎児心臓スクリーニングには,超音波検査技術の習得が必須である.ハンズオン,およびハンズオンを使ったセミナーが有用であり,広く実施されている.しかし,遠隔地の産科医,検査技師がセミナーに参加することは必ずしも容易ではない.Vidyo® Systemとインターネットで複数の施設を結び,遠隔操作でハンズオンおよびハンズオンセミナーが可能かどうかを検討した.
【方法】
遠隔地間をインターネットで接続し,Vidyo® Systemを活用し,カメラ映像,音声,超音波画像を複数の施設が共有するシステムを構築した(図参照).対象は25週から33週の6名の正常妊婦.検査者が検査室で胎児心臓超音波検査を施行.遠隔地にいる指導者は,的確な画像を描出できているか確認しながら,プローブ操作を指導.検査室から離れた別室にいる多数の受講者はセミナーの形で受講.産婦人科医1名,検査技師1名,新たに胎児心臓超音波を学ぶ助産師2名が指導を受けた.
【結果】
画質,音質,フレームレートはハンズオンには十分な品質であり,指導者,検査者,受講者ともに満足できるレベルであった.装置の空いている時間を使って指導を受けることができた.また,リアルタイムの送受信のため,指導者があたかも隣にいて教えてくれるようにきめ細かい指導を受けることができた.同時に別室でみることもできるため,検査を行っていない多くのスタッフが聴講することも可能であったとの感想が得られた.しかし,通信状況によって品質は大きな影響を受けることが分かった.無線LAN使用時,特に指導者側が移動中には画像や音声の品質低下やタイムラグが生じ,セミナーに支障を生じた.
【考察】
通常のハンズオンセミナーは空間的,時間的な制約がある.Vidyo® Systemはそのような制約を受けずに遠隔でハンズオンセミナーを可能にする有用なツールと考えられる.今後の胎児心臓超音波技術の向上に大きく寄与するものと期待される.また,近い将来,胎児心エコーの遠隔診断にも応用可能と考えられる.このシステムを円滑に作動させるためには,有線LANを使うなどで良好な通信状況を確保することが必須と思われる.