Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
産婦人科 新画像

(S714)

HDlive silhouette modeのHDliveFlowを用いた子宮悪性リンパ腫の診断

HDliveFlow with HDlive silhouette mode for diagnosis of malignant lymphoma of the uterus

田中 圭紀, ABOELLAIL Mohamed, 天雲 千晶, 森 信博, 金西 賢治, 秦 利之

Tamaki TANAKA, Mohamed ABOELLAIL, Chiaki TENKUMO, Nobuhiro MORI, Kenji KANENISHI, Toshiyuki HATA

香川大学医学部附属病院母子科学講座周産期学婦人科学

Department of Obstetrics and Gynecology, Kagawa University School of Medicine

キーワード :

【緒言】
HDliveFlowは血管分布をより立体的に描出することができる検査であり,これにHDlive silhouette modeの画像を重ねることによって腫瘍血管の立体的なネットワークの画像構築ができるようになった.この手法を用いて腫瘍血管を描出することで,良悪性や原発・転移の推定に有用である可能性があり,また,血管走行を把握することで術前戦略を練るに当たって役立つ可能性がある.
今回我々は,子宮頸部原発を疑う悪性リンパ腫の症例に遭遇したのだが,悪性リンパ腫の多くはリンパ節腫大で初発し,25%ほどが節外性臓器に発生するとされている.そのうち,子宮原発のものは稀であり,悪性リンパ腫全体の0.14%といわれている.その稀少な子宮頸部原発を疑う悪性リンパ腫においてHDlive silhouette modeのHDliveFlowを用いて描出しえた症例を経験したので文献的考察を含めて報告する.
【症例】
症例は89歳,4経妊1経産.血尿のため前医泌尿器科を受診したところ,婦人科精査を勧められ,平成27年11月,当科を受診した.内診で子宮に下新生児頭大の腫瘤を触知し,膣壁下2/3までの腫瘍浸潤があり,直腸診で傍子宮組織浸潤を疑われた.初診時は子宮頸癌を疑ったが,同日行った子宮頸部組織診でDiffuse large B cell lymphomaと診断された.また,経腟超音波検査では子宮頸部から体部にかけてだるま型を呈する10cm大のlow ehoicな腫瘤が描出された.2D color dopplarでは内部に中等度の血流がみられた.HDlive silhouette modeのHDliveFlowを用いると,腫瘍辺縁から腫瘍内部に向かって車軸状(放射状)に走行するように無数の血管が走行している様子が非常に明瞭に描出された.
造影CTでは子宮頸部を中心に膣壁および体部に及ぶ巨大な腫瘤と傍大動脈および前縦隔リンパ節に転移を疑う腫大を認めた.また,右心房から右心室内と左乳房にも腫瘤を認めた.FDG/PETでは子宮の腫瘤に一致して最も強いFDG集積がみられ,子宮頸部原発であることが疑われた.
子宮頸部原発を強く疑う悪性リンパ腫のAnn Arbor分類Ⅳ期であると診断し,現在は血液内科にて化学療法(THP-COP+Rituximab療法)を施行中である.
【考察】
悪性リンパ腫の血流分布パターンは一様ではなく,辺縁と中心部,辺縁部のみ,中心部のみの3パターンが存在するという.女性生殖器原発の悪性リンパ腫は稀であるが,Mirkらは子宮頸部原発悪性リンパ腫においてcolor dopplar法で腫瘍辺縁において不規則な血流の増加を認めたと報告している.
本症例では,2D color dopplar法では内部に血流を認めたのみであったが,HDlive silhouette modeのHDliveFlowで画像構築してみると,腫瘍の辺縁から中心部に向かって車軸状(放射状)に走行する豊富な血流が描出され,2D画像のみでは把握しえなかった情報を得ることができた.
この手法を用いて腫瘍血管を描出することは,腫瘍の良悪性や原発・転移の推定および術前戦略を練るに当たり有用である可能性が示唆された.