Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
産婦人科 胎児異常

(S712)

先天性食道閉鎖症におけるPouch Sign描出の検討

Study of pouch sign depicted in congenital esophageal atresia

高村 奈緒美1, 2, 川滝 元良2, 3, 石川 浩史4

Naomi TAKAMURA1, 2, Motoyoshi KAWATAKI2, 3, Hiroshi ISHIKAWA4

1川崎協同病院検査科, 2神奈川県立こども医療センター新生児科, 3東北大学産婦人科, 4神奈川県立こども医療センター産婦人科

1Clinical Laboratory, Kawasaki Kyodo Hospital, 2Neonatology, Kanagawa Childlen’s Medical Center, 3Obstetrics and Gynecology, Tohoku University, 4Obstetrics and Gynecology, Kanagawa Childlen’s Medical Center

キーワード :

【はじめに】
近年多くの先天性疾患が胎児診断されるようになり,特に上部消化管閉塞性疾患はほとんどが胎児診断されるようになった.しかし,食道閉鎖症(以下,本症)は羊水過多,胃胞欠如の超音波所見からスクリーニングされてきたが,他の羊水過多と胃胞欠如を呈する疾患との鑑別が困難なため,胎児診断率はいまだ低率である.近年,本症に特異的な所見として食道盲端を描出するpouch signが注目され,本症の胎児診断率向上が期待されている.
【対象および方法】
当施設で胎児診断が開始された1993年以後,出生後本症と診断された症例のうち,胎児期に詳細な超音波検査が行われていた症例を対象に,本症の胎児診断例およびpouch描出例の年次推移を検討した.また,2011年1月以後胎児診断された症例を対象として,pouch signを描出された症例(以下,pouch sign陽性群)とされなかった例(以下,pouch sign陰性群)の2群に分けて,Gross分類,胃胞描出の有無,重篤な染色体異常(18 trisomy),合併奇形,母体苦痛緩和のための羊水排液とpouch signの関連を後方視的に検討した.
【結果】
1)1993年〜2015年4月までに当施設で出生後本症と診断された症例のうち,胎児期に本症を強く疑った症例(胎児診断数)及びpouch sugnを認めた症例(陽性数)を図に示した.2010年以前,pouch signはほとんど指摘されていなかったことがわかる.2)pouch sign陽性率は9/17(53%)であり,pouch signを描出し得た妊娠週数は平均33週5日で,最も早い症例は30週0日,最も遅い症例は36週2日であった.各項目におけるpouch sign陽性率は,Gross C型7/13(54%),Gross A型2/4(50%),18 trisomy 2/6(33%),心奇形6/12(50%),VACTER連合4/4(100%),気管軟化症3/5(60%),母体苦痛緩和のための羊水排液は7/14(50%)であった.
【考察】
pouch signは本症に特異的な所見であり,胎児診断率を上げる切り札として近年注目されている超音波所見であるが,2010年以前はあまり注目されていなかった.2011年以後に限っても描出率は約53%であり,いまだ低率である.今後pouch signを念頭に置いたスクリーニングにより胎児診断率向上が期待される.今回の検討ではGross type,18 trisomy合併,心奇形合併,気管軟化症合併,羊水排液とpouch signの関連は認めなかった.VACTER連合は全例pouch sign陽性となっていたが,症例数が少ないため今後症例数を増やして検討する必要がある.