Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
産婦人科 胎児異常

(S711)

胎児項部浮腫と染色体異常との関連

The relationship between the Nuchal Translucency and chromosomal abnormality

長谷川 ゆり, 三浦 清徳, 吉田 敦, 東島 愛, 塚本 大空, 淵 直樹, 三浦 生子, 増崎 雅子, 増崎 英明

Yuri HASEGAWA, Kiyonori MIURA, Atsushi YOSHIDA, Ai HIGASHIJIMA, Ozora TSUKAMOTO, Naoki FUCHI, Shoko MIURA, Masako MASUZAKI, Hideaki MASUZAKI

長崎大学産科婦人科

Obstetrics and Gynecology, Nagasaki University

キーワード :

【目的】
妊娠初期の胎児超音波検査でNT(Nuchal Translucency)や胎児頸部嚢胞性ヒグローマ(CH: cystic hygroma)を認めることがある.いずれの所見も胎児染色体異常のリスクと関連しているが,NTの中にはCHの初期所見であるものも存在し,後者は前者と比較して,明らかに染色体異常のリスクが高いといわれている.
今回,NTの肥厚,またはCHの診断で当科へ紹介され,遺伝カウンセリングののち,羊水検査を行った例でどのような胎児異常を認めたかを後方視的に検討することを目的とした.
【対象と方法】
2011年1月から2014年12月までの4年間に胎児のNTもしくはCHを疑われ当科へ紹介された妊婦に対し,遺伝カウンセリングの後,羊水染色体検査を行った症例を対象とした.当科受診時の母体年齢,当科での超音波診断,羊水染色体検査結果,妊娠転帰,児の合併奇形の有無,児の転帰を後方視的に検討した.
【結果】
4年間で本検討の対象となった症例は34例であった.母体年齢は21歳から42歳であり,平均は31歳であった.当科受診時の超音波診断で,NTを認められたものは23例,CHは11例であった.染色体異常を認めたのは,NT23例中3例(症例1:46XX,der(14:21)(q10:q10),+21[20],症例2:47,XY,+mar[36]/46,XY[7],症例3:47,XX14pstk+,+21),CH 11例中4例(症例4,5:47,XX,+18,症例6:47,XY,+13,症例7:47,XX+i(12)(p10)[13]/46XX[12])であった.染色体検査で異常を認めた7例のうち5例は人工妊娠中絶を希望された.症例2と症例6は妊娠を継続したが,trisomy13であった症例6は妊娠25週で子宮内胎児死亡に至った.染色体異常を認めなかった27例は全例妊娠を継続したが,CH7例のうち1例は18週で子宮内胎児死亡し,1例は四肢短縮症と診断され人工妊娠中絶を希望された.
【結論】
NTとCHとでは,それぞれの染色体異常のリスクならびに妊娠転帰が異なることが確認された.妊娠初期の超音波検査で両者を正確に鑑別することは,遺伝カウンセリングにおける正確な情報提供につながり重要である.