Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
産婦人科 腫瘍

(S709)

腹部超音波検査は卵巣癌の大網播種病変の評価に有用である

Preoperative abdominal sonography is effective for the assessment of omental cake

新井 聡子, 石井 久美子, 松岡 歩, 錦見 恭子, 楯 真一, 尾本 暁子, 生水 真紀夫

Satoko ARAI, Kumiko ISHII, Ayumu MATSUOKA, Kyoko NISHIKIMI, Shin-ichi TATE, Akiko OMOTO, Makio SHOZU

千葉大学医学部附属病院婦人科・周産期母性科

Reproductive Medicine, Graduate School of Medicine, Chiba University

キーワード :

【緒言】
進行卵巣癌では腹腔内病変によって治療方針が変わるため,治療前に正確な評価を行うことが重要である.当科ではこれまで造影CT検査(以下CT)で播種病変を評価してきたが,開腹後に想定以上の播種や癒着が判明し試験開腹に変更になることがあった.そこで今回われわれは,主な卵巣癌の腹腔内病変である大網播種病変を対象として,従来のCTによる評価に超音波検査(以下US)を併用することで検出感度が上昇するか,前向きに検討した.
【対象・方法】
対象は,2014年10月から2015年11月までに卵巣癌を疑い当院で手術を施行した42例(良性:1例,Ⅰ/Ⅱ期19例,Ⅲ/Ⅳ期22例).主な腹腔内病変として,大網播種・横行結腸との癒着・脾弯曲への進展の有無を評価項目とした.
まず,術前1ヶ月以内にCTを撮影し,評価項目について読影を行った.これをCT単独の結果とした.次いで,CTの結果を参照後にUSを施行し,同部位の播種病変の有無について検索を行った.
陽性所見を,大網播種では肥厚・形状不整・腫瘤性病変があるもの,横行結腸の癒着では大網播種病変との境界不明瞭化や可動性の消失,脾弯曲では大網播種病変の脾門部までの進展像とした.この時の結果をUS併用とし,CTとUSの結果が異なる場合はUSの所見を優先した.最後に,術中所見に対し,CT単独とUS併用の病変検出に有意差があるか比較した.
CTは当院放射線科医に読影を依頼し,その後当科でも確認した.USは当科超音波検査士2名で評価した.
【結果】
大網播種病変は,US併用により感度は高まり(CT単独:68%,US併用:81%),特異度と(CT単独:95%,US併用:90%),正診率に差がなかった(CT単独:80%,US併用:85%).横行結腸との癒着では,感度が高まり(CT単独:37%,US併用:75%),特異度に差はなく(CT単独:100%,US併用:92%),正診率が高まった(CT単独:76%,US併用:85%).脾弯曲でも感度が高まり(CT単独:31%,US併用:75%),特異度の差はなく(CT単独:100%,US併用:92%),正診率が高まった(CT単独:73%,US併用:85%).
【考察】
今回の検討で,CT単独での病変検出については術中所見と合わないことがわかった.これは,CTではスライス幅以下の病変の指摘や癒着の評価が困難なためと考える.一方,USはリアルタイムに詳細な観察を行うことができるため,CTでは指摘できなかった病変の検出が可能となり感度が高まった.また,US併用では偽陽性が増えたが,特異度に大きな差はなく許容範囲内と考える.
大網と横行結腸が癒着している場合,腸の切除範囲や化学療法に使用する薬剤選択が問題となる.また,脾弯曲への進展がある場合は,脾・膵尾部合併切除が考慮される.これらの情報を術前に正確に知ることができれば,方針決定の際に有用であり,治療を円滑に進めることが可能となる.
【結語】
大網播種病変について,CTにUSを併用することで検出感度を高めることができた.