Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
産婦人科 腫瘍

(S709)

卵巣腫瘍の良性・悪性鑑別における3D超音波の活用

The differential diagnosis for benign-malignant ovarian tumors by 3D ultrasound

井上 統夫, 増崎 英明

Tsuneo INOUE, Hideaki MASUZAKI

長崎大学病院産婦人科

Department of Obstetrics & Gynecology, Nagasaki University Hospital

キーワード :

【目的】
近年IOTA groupにより超音波による卵巣腫瘍の良性・悪性鑑別の試みが報告されている.また3D超音波が,付属器腫瘤の内部構造の評価に有用であるとの報告も散見される.これらの超音波による新しい評価法によって,付属器腫瘤の良性・悪性の術前評価がどの程度可能かについて検討することを目的とした.
【対象および方法】
2013年1月以降に当科において付属器腫瘤のために手術を施行した45例を対象とした.術前に2D,3D超音波およびMRIが施行された.術前の2D超音波(IOTA LR2,ADNEX model),3D超音波およびMRI所見と術後の摘材肉眼所見ならびに病理組織診断とを比較し,付属器腫瘤の良性・悪性鑑別に対するそれぞれの画像診断の有用性を後方視的に評価した.
【成績】
摘材の病理組織検査では良性が33例,境界悪性8例,悪性4例であった.悪性腫瘍であった4例については術前の3D超音波およびMRIでは3例で,IOTA LR2およびADNEX modelでは4例とも悪性の可能性を疑った.境界悪性であった8例についてはIOTA LR2およびADNEX modelでは2例で,また3D超音波,MRIでは4例で良性と評価されていた.
IOTA LR2およびADNEX modelでは良性を悪性の可能性ありと判定したものが3D超音波やMRIと比較してやや多かった.
境界悪性および悪性の診断に対して,3D超音波とMRIでは特異度,陰性的中率,正診率が高く,一方IOTA LR2およびADNEX modelでは感度と陰性的中率が高く,陽性的中率は低かった.
【考察】
3D超音波は境界悪性および悪性の付属器腫瘤の診断に対してMRIと同様な評価傾向を示したが,IOTAによる評価はそれらとは一部異なる特長を示した.3D超音波とIOTAによる評価を組み合わせることで,超音波による良性悪性の術前診断がより正確になる可能性があると考えられた.