英文誌(2004-)
一般口演
産婦人科 胎児心臓循環
(S705)
当院産科外来における先天性心疾患の胎内診断に関する後方視的検討
Review of fetal echocardiography of congenital heart disease
秋葉 洋平, 春日 義史, 大谷 利光, 福武 麻里絵, 正木 繭, 落合 大吾, 松本 直, 宮越 敬, 田中 守
Yohei AKIBA, Yoshifumi KASUGA, Toshimitsu OHTANI, Marie FUKUTAKE, Mayu MASAKI, Daigo OCHIAI, Tadashi MATSUMOTO, Kei MIYAKOSHI, Mamoru TANAKA
慶應大学病院産科
Department of Obstetrics, Keio University Hospital
キーワード :
【目的】
当院では,本学会超音波専門医資格を有する産科医が胎児スクリーニングおよび精査に携わっている.今回我々は,当院産科外来における先天性心疾患(congenital heat disease: CHD)の胎内診断に関する後方視的検討を行った.
【方法】
対象は2011年から2014年までに当院で周産期管理を行った2285例であり,全例で産科外来において胎児超音波検査を行った.特に胎児心臓については,四腔断面像,心室流出路および大動脈弓の走行を評価した.本検討ではCHDの症例数,確定診断名,出生前後の診断一致率,診断不一致例を後方視的に解析した.
【結果】
対象2285例中,42例(1.8%)は出生前にCHD合併と診断された(35例は他院からの紹介例).確定診断の内訳は,心室中隔欠損症(VSD)15例,両大血管右室起始症10例,肺動脈閉鎖症6例,肺動脈狭窄症6例,大動脈弓離断症4例,単心室4例,房室中隔欠損症3例,大動脈縮窄症2例,完全転位症2例,総肺静脈還流異常症2例,左心低形成症候群1例,Fallot四徴症(TOF)1例,血管輪1例,その他の異常(胎児不整脈を含む)2例であった(重複あり).出生前後の診断一致率は93%(39/42例)であり,3例では心室流出路および大動脈弓の評価が出生前後で異なっていた.まず1例目では胎内においてTOFと診断したが,出生後精査では大動脈騎乗を認めず,VSD単独の確定診断となった.2例目はVSDおよび大動脈縮窄症の胎内診断であったが,出生後は大動脈縮窄症を認めずVSDのみを認めた.3例目は出生前にはVSDおよび肺動脈拡張と診断されたが,出生後評価ではVSD単独症例であった.
【結語】
当院産科外来における先天性心疾患の胎内診断の正診率は良好であった.一方で,VSD合併例の心室流出路および大動脈弓の正確な評価は今後の課題と考えられた.