Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
産婦人科 胎児心臓循環

(S703)

右側大動脈弓の簡便なスクリーニング法を用いた胎児心スクリーニングの啓蒙活動の効果

The effect of ducational activities for fetal heart screening with simplifised right aortic arch acreening

川滝 元良1, 金 基成2

Motoyoshi KAWATAKI1, Motonari KIMU2

1東北大産婦人科, 2神奈川県立こども医療センター小児循環器科

1Department of Obstetrics and Gynecology, Tohoku University, 2Department of Pediatric Cardiology, Kanagawa Children’s Medical Center

キーワード :

【目的】
胎児スクリーニング率の向上を目指して,レベル1の胎児スクリーニングを担当している産科医,検査技師への啓蒙活動を行ってきた.右側大動脈弓(RAA)の簡便なスクリーニング法を使った啓蒙活動と胎児診断症例数の推移について検討したので報告する.
【方法】
啓蒙活動は,以下のような方法で行った.(1)産科のクリニックにおいては,産科医,検査技師にレベル1の胎児スクリーニングの具体的な方法を,妊婦さんの協力をいただき,ハンズオン形式で伝えた.以上の活動を定期的に繰り返した(2)複数の産科医や検査技師が勤務する病院においては,典型的な所見を有する先天性心疾患症例のSTIC(Spatio Temporal Image Correlation)のデータをパソコン上で操作しながら,レベル1および2の胎児スクリーニングの具体的な方法を,STICセミナー形式で伝えた.以上の活動をシリーズで定期的に繰り返した.(3)大学または産婦人科医会などで,レベル1および2の胎児スクリーニングの具体的な方法を,典型的な所見を有する先天性心疾患症例の動画を含むスライドを使ってセミナー形式で伝えた.以上の活動をシリーズで行った.啓蒙活動開始前の前期(1993年〜1998年),啓蒙活動は開始したが,RAAの簡便なスクリーニング法については触れなかった中期(1999年〜2004年),啓蒙活動の中でRAAの簡便なスクリーニング法を積極的に推奨した後期(2005年〜2010年)の3つの時期に分けて,CHD全体,単心室疾患,RAAを合併したCHD,血管輪の胎児診断症例数の推移を検討した.前期のCHD全体,単心室疾患,RAAを合併したCHD,血管輪の胎児症例数を1として,中期,後期の症例数の推移を検討した.RAAの簡便なスクリーニング法とは,4CV〜3VVにおける胸部下行大動脈の位置から左側大動脈弓と右側大動脈弓を鑑別し,重症心疾患のスクリーニングに役立てる方法である.詳細は別の演題で報告する予定である.
【結果】
中期では,CHD全体が2.9,単心室疾患は4.4に増加した.しかし,RAAを合併したCHDは1.2,血管輪は1とほとんど増加しなかった.後期においてはRAAを合併する重症心疾患は5.6や血管輪25と著明に増加した.
【考察】
啓蒙活動開始前の前期に比較して,啓蒙活動を開始した中期では,CHD,特に単心室疾患の胎児診断症例数が4.4倍に急上昇した.この胎児診断症例増加に多くの因子が関与していると思われるが,我々の啓蒙活動も大いに関与している可能性があると考える.しかし,中期においては,RAAの胎児診断症例数はほとんど増加しなかった.一方後期においては,RAAを合併する重症心疾患や血管輪の胎児診断症例がそれぞれ5.6倍,25倍に著明な増加を示した.簡便なRAAのスクリーニング法を啓蒙活動で推奨したことが,これらの胎児診断症例増加につながった可能性があると考える.前期においては10%に満たなかった重症心疾患の胎児診断率が後期の終わり,約20年後には60%を超え,世界の胎児診断先進国と肩を並べるレベルに到達した.単心室疾患に至っては80〜90%に到達した.残された今後の課題としては,二心室疾患特に完全大血管転位や総肺静脈還流異常など胎児スクリーニングが技術的に難しい心疾患の胎児診断率の向上である.これらの心疾患を効率よくスクリーニングする簡便な方法を見出し,積極的に啓蒙活動を行っていくことが我々のこれからの課題と考える.
【結語】
RAAの簡便なスクリーニング法をつかった啓蒙活動の効果を胎児診断数増加,胎児診断率上昇で示すことができた.