Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
甲状腺 甲状腺・皮膚

(S694)

甲状腺結節におけるReal-time Tissue Elastographyを用いた組織弾性評価の有用性

Clinical Utility of Real-time Tissue Elastography for evaluating thyroid nodules

小野田 教高1, 大和田 里奈1, 児玉 ひとみ2, 中村 靖2, 大塚 博紀3

Noritaka ONODA1, Rina OWADA1, Hitomi KODAMA2, Yasushi NAKAMURA2, Hiroki OTSUKA3

1埼玉石心会病院内分泌代謝内科, 2埼玉石心会病院乳腺内分泌外科, 3さやま総合クリニック健診センター

1Division of Endocrinology and Metabolism, Saitama Sekishinkai Hospital, 2Department of Breast and Endocrine Surgery, Saitama Sekishinkai Hospital, 3The Center of Health Promotion, Sayama General Clinic

キーワード :

【はじめに】
組織弾性評価手法には,大きくStrain ElastographyとShear Wave Elastographyの2つに分類される.前者の一つであるReal-time Tissue Elastography(RTE)は最も歴史が長く知見が集積しており,甲状腺領域でも臨床応用が期待されている.今回この手法を用いて,甲状腺結節の良悪性の鑑別に有用か否かを検討する.
【対象】
2014年4月から2015年9月までに当院にて穿刺吸引細胞診を実施された症例.卵殻状石灰化や嚢胞成分が3割を超える結節は除外した.RTEのデータが得られた68人,69病変を対象とした.細胞診または摘出時の病理組織から判明した診断は,腺腫様結節37病変,乳頭癌22病変,橋本病8病変,髄様癌,悪性リンパ腫各1病変であった.
【方法】
超音波断層装置は,日立アロカ社製F75,UST-5415電子リニア型探触子(周波数帯域4〜13MHz)を用いた.JABTS掲載の基準に則り,静止画像から4段階にGrade分類を行った.(Grade1:ほぼ全体に歪み,Grade2:一部に歪みなし,Grade3:一部に歪み,Grade4:ほぼ全体に歪みなし)サイズの大きいもの以外は胸鎖乳突筋を対照とした,歪みの比率(Strain Ratio; SR)を測定した.また従来法のカラードプラの内部血流との対比も行った.
【結果】
病変別のgrade平均値は,乳頭癌3.3,腺腫様結節2.22,橋本病2.25,その他の悪性腫瘍はいずれも3であった.乳頭癌はGrade1なし,Grade2は3結節,Grade3は8結節,Grade4は11結節であり,腺腫様結節では,Grade1は7結節,Grade2は17結節,Grade3は11結節,Grade4は2結節で,乳頭癌にGrade3以上が多く,腺腫様結節はGrade2以下が多かった(χ2検定;p<0.001).Grade1-2と3-4とに分けて解析した場合,Grade3-4で乳頭癌と仮定した場合,感度は0.864と高値なるも,特異度は0.649とやや劣る結果となった.一方,結節部分の歪み率においては,乳頭癌は0.175±0.016%,腺腫様結節は0.386±0.029%と乳頭癌で低く(t検定;p<0.001),SRでは,乳頭癌のほうが高値であった(t検定;p<0.05).乳頭癌と腺腫様結節の峻別をROC解析にてカットオフを0.21とした場合の感度は0.773,特異度は0.906,陽性尤度比は8.22となった.なお,従来のカラードプラとelastographyとの関連性は見いだせなかった.
【考案】
これまで甲状腺結節の良悪性の鑑別には,B-modeによる観察を中心に,カラードプラによる結節内血流や腫瘍血管の血流解析(FFT解析)情報を加味して判断していた.今回用いた機器によるRTEによる弾性評価には,用手圧迫法によって画像を作成するため,手技の困難性と再現性の問題が発生することが懸念された.実際,結節自体の歪み率と,胸鎖乳突を対照にした歪み率を比較すると,両者共に有意差は得られたものの,後者にはばらつきが存在した.幾つかの克服すべき課題は残るとしても,今回の結果は新たなモダリティーの有効性が示された.さらに症例を重ねて検討してゆきたい.