Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
乳腺 乳腺②

(S691)

石灰化病変を標的としたUSガイド下針生検における標本ラジオグラフィ併用の有用性

Usefulness of specimen radiography in combination with US guided needle biopsy for calcified lesions

長谷川 美樹, 小柳 敬子, 金子 耕司, 神林 智寿子, 本間 慶一, 佐藤 信昭

Miki HASEGAWA, Keiko OYANAGI, Kouji KANEKO, Chizuko KANBAYASHI, Keiichi HONMA, Nobuaki SATO

新潟県立がんセンター新潟病院乳腺外科

Department of Breast Surgery, Niigata Cancer Center Hospital

キーワード :

【背景】
超音波検査はマンモグラフィ(MMG)に対して乳腺石灰化病変の検出感度が劣るとされてきたが,近年,超音波検査機器の進歩により,石灰化病変の検出感度は向上した.さらに,当院では2015年4月に乳腺外科に超音波検査士を採用したことで,超音波検査で石灰化病変を検出できる機会が増加した.乳癌の病理組織診断には,標的病変を確実に採取されていることが大前提であるが,USガイド下に石灰化病変を確実に採取することは容易ではない.
【目的】
石灰化病変を標的としたUSガイド下針生検に,標本ラジオグラフィの併用は有用と考えられたため,自験例を報告する.
【対象と方法】
2015年4月から12月に,15例にUSガイド下針生検検体に対し標本ラジオグラフィが施行された.年齢の中央値は55歳(40-75歳)で,全例女性だった.MMGカテゴリーは,3が5例,4が8例,5が2例であった.石灰化は,微小円形石灰化が7例,多形性石灰化が6例,淡く不明瞭な石灰化と線状石灰化がそれぞれ1例ずつであった.USカテゴリーは,3が4例,4が11例で,カテゴリー4症例の推定組織型は全例DCISであった.14例で低エコー領域を伴っていたが,5例で病変範囲の計測ができなかった.USガイド下に16Gあるいは14Gで針生検を施行した後,シャーレに検体を置き,標本ラジオグラフィを施行した.
【結果】
標本ラジオグラフィは,14例(93%)で石灰化を確認できた.標本内の石灰化を確認できなかった1例は,MMG,USともカテゴリー4であったため,後日,ステレオガイド下吸引組織生検を施行し,分泌型石灰化と診断した.石灰化を確認したUSカテゴリー4症例のうち,9例(90%)は乳癌であった.組織型は,DCIS 6例(うち2例で微小浸潤の疑いあり),非浸潤性小葉癌1例,充実腺管癌1例,粘液癌1例であった.USカテゴリー3症例のうち,2例は乳癌で,いずれもDCIS(うち1例で微小浸潤の疑いあり)であった.その他,1例は硬化性腺症であり,1例は鑑別困難のため精査継続中である.
【考察】
確実な病理組織診断には標的病変を確実に採取することが不可欠であり,針生検の病理組織診断が良性あるいは正常乳腺であった場合には,病変部を採取できていない可能性についても考慮する必要がある.しかし,腫瘤非形成性陰影や石灰化に対して確定診断のためのUSガイド下針生検を行う際,局所麻酔や出血,穿刺後のアーチファクトにより,標的病変の確認が困難となるという経験をすることがある.また,ステレオガイド下組織生検は,石灰化病変の採取を確認することが可能だが,設備のある施設は限られており,患者および医療者の時間的・身体的負担は大きい.USガイド下針生検検体の標本ラジオグラフィは,特別な機器を必要とせず,石灰化病変を確実に採取できているか否かを確認することが可能である.
【結語】
石灰化病変を標的としたUSガイド下針生検に対する標本ラジオグラフィの併用は,日常臨床で有用な手段である思われる.今後,USで検出できなかった石灰化病変との比較検討についても検討を予定している.