Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 肝腫瘍:診断②

(S683)

Shear wave elastography(SWE)による小肝腫瘤の質的診断

Sonographic diagnosis of liver focal masses with shear wave elastography

石田 秀明1, 長沼 裕子2, 長井 裕3, 大山 葉子4, 渡部 多佳子1, 小川 眞広5, 鈴木 克典6, 黒田 英克7, 矢野 雅彦8

Hideaki ISHIDA1, Hiroko NAGANUMA2, Hiroshi NAGAI3, Yoko OHYAMA4, Takako WATANABE1, Masahoro OGAWA5, Katsunori SUZUKI6, Hidekatu KURODA7, Masahiko YANO8

1秋田赤十字病院超音波センター, 2市立横手病院消化器内科, 3NGI研究所, 4秋田厚生医療センター臨床検査科, 5日本大学病院消化器内科, 6山形県立中央病院消化器内科, 7岩手医科大学消化器肝臓内科, 8東芝メディカルシステムス超音波担当

1Department of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital, 2Department of Gastroenterology, Yokote Municipal Hospital, 3New Generation Imaging Laboratory, 4Department of Medical Laboratory, Akita Kousei Medical Center, 5Department of Gastroenterology, Nihon University Hospital, 6Department of Gastroenterology, Yamagata Prefectural Central Hospital, 7Division of Gastroenterology and Hepatology, Iwate Medical University, 8Toshiba Medical Systems, Toshiba Medical Systems

キーワード :

Shear wave elastography(SWE)は超音波診断に新しいページを加えた画期的技術で多くの臨床応用が期待されている.SWEはびまん性肝疾患の診断に広く用いられているが,肝腫瘍に対する利用は散見される程度である.今回我々は,下記の肝腫瘤病変に対しSWEを施行し若干の知見を得たので報告する.使用診断装置:東芝社製:AplioXG,500.
【対象と方法】
対象は,上記装置を用い安定した条件(下記*)でSWEを施行した,長径2cm以下の肝腫瘤33例である.疾患群は,原発性肝細胞癌10例(男7例,女3例,年齢48-88(平均年齢:68歳))肝転移10例(男6例,女4例,年齢37-92(平均年齢:74歳))肝血管腫10例(男3例,女7例,年齢28-79(平均年齢:42歳))肝FNH2例(32歳女性,68歳男性), 18mm大の大きな再生結節1例(72歳男性)で,比較検討を容易にするため症例の少ない肝FNH以外は,最近の10例を対象とした.*:SWE検査は検査条件を安定させるため,超音波検査に習熟した2名の超音波指導医が施行した.なお,測定箇所は肝表面から1cm以深で音源から5cm以内の病変とした.なお,これらの例では全例最終診断は造影超音波所見を基にした.
【結果】
1)肝血管腫は9/10例でSWE上周囲肝と同様の値を示しカラー表示上病変部を認識不能であった.
2)肝細胞癌例では8/10例でSWE上周囲肝より高いSWE値を示したが,腫瘍内はSWE値が安定せずカラー無表示域となった.なお,1例の大きな再生結節でもSWE上周囲肝より高いSWE値を示した.
3)肝転移では全例で,肝細胞癌例同様SWE上周囲肝より高いSWE値を示したが,腫瘍内はSWE値が安定せずカラー無表示域となった.4)3DSWEではさらに所見の全体像の把握が容易となった.
【考察】
SWEは基本的に均一な組織中を伝わる弾性波の伝導速度を計測するために開発された技術である.それは肝腫瘤のように音響学的のことなる性質の者が存在すると,周囲肝-病変の境界で屈折や反射が起き,弾性波が無秩序に伝導し計測不能となるためである.このことが原発性肝細胞癌や肝転移で起きている,と思われる.その意味では,むしろ小血管腫例にみられた弾性波が障害なく伝導する事がまれな事態と思われる.しかし,このことは,我々が日常診療で苦慮する小腫瘤例の中で血管腫をSWEで除外できることを示しており,それなりの臨床的意義を有していると思われた.