Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 肝腫瘍:診断①

(S680)

NASHに発生した肝細胞癌4例の造影超音波検査所見

HCC on NASH: reports of four cases

榎本 愛実1, 鈴木 克典1, 佐藤 純子2, 赤塚 れい子2, 伊藤 千代子2, 門間 美穂2, 大山 葉子3, 長沼 裕子4, 石田 秀明5

Manami ENOMOTO1, Katsunori SUZUKI1, Junko SATO2, Reiko AKATSUKA2, Chiyoko ITO2, Miho MOMMA2, Youko OOYAMA3, Hiroko NAGANUMA4, Hideaki ISHIDA5

1山形県立中央病院消化器内科, 2山形県立中央病院中央検査部, 3秋田組合総合病院臨床検査科, 4市立横手病院消化器内科, 5秋田赤十字病院消化器内科

1Department of Gastroenterology, Yamagata Prefectural Central Hospital, 2Department of Medical Laboratory, Yamagata Prefectural Central Hospital, 3Department of Medical Laboratory, Akita Kumiai General Hospital, 4Department of Gastroenterology, Yokote Municipal Hospital, 5Department of Gastroenterology, Akita Red Cross Hospital

キーワード :

【はじめに】
本邦における原発性肝細胞癌の多くは,B型肝炎,C型肝炎,アルコールといった慢性肝疾患を母地に発生する.しかし最近はNASH(非アルコール性脂肪肝炎)の報告が増加し,更にその上に発生したHCC(肝細胞癌)例の報告も散見されるようになった.臨床データや背景肝に特徴を欠く場合,検出された腫瘍の診断に苦慮することがある.造影超音波所見が加わることで腫瘍の質的診断能が向上すると期待される.そのような4例に造影超音波検査を施行する機会を得たので報告する.
【方法】
使用診断装置:東芝社製:Aplio XG,500,GE社製:LOGIQ E9.超音波造影剤はソナゾイド®(第一三共社)を用い,通常の肝腫瘍の造影方法に準じた.
【症例】
症例1:70歳代女性,肝機能障害にて経過観察中,飲酒歴は機会飲酒程度,肝S2/3に3cm大の腫瘤を指摘された.AFP,PIVKA-2は正常範囲,CT検査では,単純で低吸収,造影では低造影を示す病変であった.造影超音波検査では,動脈相で不均一な濃染を認めた.肝切除がなされ,組織は高分化型肝細胞癌,背景肝はNASHであった.
症例2:60歳代男性,脂肪肝・糖尿病の経過観察中.機会飲酒.肝S2に4.5cmの腫瘤を指摘.AFP,PIVKA-2は正常範囲,CT検査では,単純で低吸収,造影では低造影を示す病変であった.造影超音波検査では,動脈相で濃染を認めた.肝切除がなされ,組織は高分化型から中分化型の肝細胞癌,背景肝はNASHであった.
症例3:60歳代女性,肝機能障害・高脂血症の経過観察中.飲酒歴無し.肝S4に2cmの腫瘤を指摘された.AFP,PIVKA-2は正常範囲,CT検査では,単純で低吸収,造影では低造影を示す病変であった.造影超音波検査では,動脈相で不均一濃染を認めた.経過観察中である.症例4:60歳代男性,肝機能障害・糖尿病の経過観察中.S2,2cm.AFP 12.7ng/dl,PIVKA-2 413mAU/mlと上昇.CT-乏血性病変,造影超音波-不均一淡染病変であった.経過観察中である.
いずれの症例も,HBs抗原,HCV抗体陰性,飲酒量は20mg/日以下であった.造影CTでは低染影腫瘤として,造影超音波検査では動脈相で濃染し,後血管相で抜けるという共通の画像的特徴を有した.
【考察】
肝細胞癌に関しては2cm以下のものはそのほとんどが高分化型であるといわれており,多段階発育を示して腫瘍径の増大とともに脱分化が生じ中分化・低分化へと置き換わっていくといわれている.その過程で支配血管が門脈系から腫瘍性動脈系へと置き変わっていくことが解ってきており,画像的には早期濃染が特徴的である.また門脈系への移行の際に限局性に代謝障害や血行動態の異常がおこり腫瘍内に脂肪化がおこることも見受けられる.最近では肝細胞癌の背景肝に変化が見られ,ウイルス肝炎の関与しない肝細胞癌が増加してきている.また画像診断の進歩により,様々な段階の肝腫瘍が発見され,診断に苦慮する症例も増えつつある.
肝細胞癌は,肝硬変の画像所見が原疾患により異なる様に,その上に発生したHCCの画像所見にも差異が生ずる事は当然と思われる.造影CTは時相により腫瘍の血流動態の変化を把握しているが,造影超音波は,リアルタイムにそして連続的に腫瘍の血流動態を把握するのに優れている.今回の症例では腫瘍はCTで乏血性病変として,造影超音波上不均一な淡染病変として表現された.今後,更に症例数を増やし,この“不均一淡染”所見が一般的傾向か検討を続けたい.