Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 肝線維化⑤

(S673)

C型慢性肝疾患の線維化評価

Noninvasive evaluation of liver fibrosis in chronic hepatitis C

筒井 朱美, 馬場 伸介, 妹尾 知典, 永野 拓也, 高口 浩一

Akemi TSUTSUI, Nobuyuki BABA, Tomonori SENOH, Takuya NAGANO, Koichi TAKAGUCHI

香川県立中央病院肝臓内科

Department of Hepatology, Kagawa Prefectural Central Hospital

キーワード :

【背景】
C型肝炎ウイルスによる慢性肝疾患は,肝線維化が強くなるほど発癌リスクが高くなり,肝不全のリスクが上昇すると言われており,肝線維化を正しく評価することは非常に重要である.肝の線維化は,肝生検で調べるのが確定診断としては重要であるが,侵襲的でありサンプリング・エラーが生じる可能性もあることから,非侵襲的で簡便な肝線維化診断方法が望まれている.非侵襲的な診断方法として,血液検査にて測定するヒアルロン酸などの血清肝線維化マーカーや,超音波技術を用いて肝線維化を測定する方法があり,生体内の組織ひずみを高速演算する手法を用いてリアルタイムで組織の硬さ情報を映像化して肝線維化度の測定をおこなうReal-time tissue elastography(RTE)などがある.
【対象と方法】
今回我々は,RTE(使用機種:日立メディコ製HI VISION Preirus)を施行されたC型慢性肝疾患患者57例(男/女26/31,平均年齢63.2歳(32-87歳)において,観察開始時から1年後にHCV RNAが陰性化している32例(陰性群)と陰性化していない25例(非陰性群)にわけ,RTEによるliver fibrosis index(LF Index),血小板(×104/μL),ヒアルロン酸(ng/mL),Alb(g/dl)の3年間の推移を検討した.
【結果】
陰性群/非陰性群において,LF Indexは初回2.93/2.92,1年後2.77/2.99,2年後2.84/3.1,3年後2.79/3.03,ヒアルロン酸は初回87.6/205.8,1年後177.9/275.2,2年後76.8/228.7,3年後76.8/229.8,血小板は初回16.9/16.0,1年後19.7/15.4,2年後18.0/16.4,3年後17.9/16.8であり,両群間の推移に統計学的有意差(p<0.05)を認めた.Albは初回4.29/4.13,1年後4.24/4.13,2年後4.34/4.10,3年後4.4/4.2(p=0.37)であった.
【結語】
HCV陰性化後の長期経過観察によってLF Indexやヒアルロン酸の改善がみられた.超音波技術を用いた肝線維化の測定値や血清線維化マーカーが,治療による肝線維化改善の指標になりうることが示唆された.