Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 肝線維化⑤

(S673)

データマイニング手法を用いた非侵襲的肝線維化診断法によるC型肝硬変症例の抽出

Extraction of Type C Cirrosis Cases by Noninvasive Liver Fibrosis Diagnostic Procedure Using Data Mining Technique

桑木 健志1, 2, 中村 進一郎1, 3, 安中 幸1, 竹内 康人1, 安中 哲也1, 大西 秀樹1, 池田 房雄1, 白羽 英則1, 高木 章乃夫1, 岡田 裕之1

Kenji KUWAKI1, 2, Shinichiro NAKAMURA1, 3, Yuki YASUNAKA1, Yasuto TAKEUCHI1, Tetsuya YASUNAKA1, Hideki ONISHI1, Fusao IKEDA1, Hidenori SHIRAHA1, Akinobu TAKAKI1, Hiroyuki OKADA1

1岡山大学病院消化器内科, 2岡山大学病院新医療研究開発センター, 3岡山大学病院超音波診断センター

1Department of Gastroenterology and Hepatology, Okayama University Hospital, 2Center for Innovative Clinical Medicine, Okayama University Hospital, 3Center for Ultrasound Diagnosis, Okayama University Hospital

キーワード :

【背景】
Fibroscanは非侵襲的肝線維化診断において現時点で唯一保険収載されているmodalityであり,臨床現場における治療方針の決定から治験へのエントリー基準にまで広く用いられている.ただし食事の影響を受ける,高度肥満症例や腹水のある症例では測定できない等の弱点を有する.
東芝社の開発したASQ(Acoustic Structure Quantification)は超音波診断の重要所見の一つである画像の粗さを解析する方法であり,従来の検査者による目視での診断をより客観的にするものである.物理的作用を加え組織の弾性を計測するFibroscanとは異なるため,前述の弱点を持たない.
Fib-4 indexは血液検査結果と年齢のみで簡易に計算される.特殊な機器を必要とせず,上記の2つとは異なるアプローチで肝線維化を診断可能である.
【目的】
C型慢性肝炎における高度線維化(F4)症例を,Fibroscan・ASQ・Fib-4 indexのデータをもとにデータマイニングの手法を用い抽出した.
【対象】
2012年12月以降に当院で肝生検を行ったC性慢性肝炎症例のうち,生検前にFibroscanにより肝硬度を測定した連続症例49例.
【方法】
超音波診断装置はAplio500,探触子はPVT-375BT(中心3.5MHz,以降375BTと表記)およびPVT-674BT(中心5.2MHz,以降674BTと表記)を用いた.ASQについては生検部位の肝実質超音波断面像を両探触子でASQ-modeで記録し,取得したRAW dataをPC用ソフトPC-ASQRv1.11R001を用い解析した.375BTではdepthを8cm,focusを4cm,ROIをdepth 5cmの位置で大きな脈管を避け幅3cm以上となるよう設定,674BTではdepthを5cm,focusを3cm,ROIをdepth 4cmの位置で幅2.5cm以上となるよう設定し,得られたASQ値の中央値をそれぞれ用いた.Fibroscan(以降FSと略)についてはFibroscan 502 touch・Mプローブを用い,右季肋部からの10回測定値の中央値を用いた.Fib-4 indexについては生検前日または当日朝の血液検査結果を元に計算した.生検組織の線維化ステージを新犬山分類で評価し,F値とFSの値,2種類のASQ値,Fib-4 indexとの関係を調べた.データマイニングソフトにはIBM SPSS Modeler 16.0を用いた.
【結果】
USガイド下生検(n=48),切除標本(n=1)から得られた肝組織の線維化程度の内訳は,F1(n=17),F2(n=3),F3(n=9),F4(n=20)であった.
FSで得られた値(kPa)はそれぞれ5.9±2.0,4.7±0.9,13.7±14.0,21.7±9.4,375BTプローブで得られたASQ値(Cm2%,mean±SD)はそれぞれ112.5±5.8,114.5±4.9,113.0±3.3,119.9±6.7,674BTプローブで得られたASQ値(Cm2%)はそれぞれ115.8±4.7,110.0±2.8,113.0±2.7,119.1±6.3であった.Fib-4 indexの値はそれぞれ2.0±1.2,3.6±1.6,3.8±1.9,7.0±3.0であった.
IBM SPSS Modelerによるdecision treeを作成した.全体(n=49)がまずFS 12.5kPa以上(n=20)・未満(n=29)の2つのノードに分岐し,前者はFib-4 index 3.4超(n=19)・3.4以下(n=1),後者は375BTによるASQ値121超(n=2)・121以下(n=27)の各2つのノードに分岐した.FS 12.5kPa未満・375BTによるASQ値121超は2例ともF4であり,FS 12.5kPa以上・Fib-4 3.4以下の1例はF3以下であった.
【結論】
原理の異なる3種類の非侵襲的肝線維化診断のmodalityを用いることで,容易にF4症例をすべて抽出することが可能であった.Fibroscanの弱点をASQ・Fib-4 indexで補う形で診断能の向上が得られた.