Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 診断・血流

(S669)

腎うっ血評価としての超音波ドプラを用いた腎静脈の測定法の検討

Measurement of renal vein using color Doppler ultrasonography for evaluation of renal venous hypertension

金子 真大, 松本 直樹, 小川 眞広, 渡邊 幸信, 林田 まり子, 高安 賢太郎, 平山 みどり, 三浦 隆生, 塩澤 克彦, 森山 光彦

Masahiro KANEKO, Naoki MATSUMOTO, Masahiro OGAWA, Yukinobu WATANABE, Mariko HAYASHIDA, Kentaro TAKAYASU, Midori HIRAYAMA, Takao MIURA, Katsuhiko SHIOZAWA, Mitsuhiko MORIYAMA

日本大学医学部消化器肝臓内科

Division of Gastroenterology and Hepatology, Department of Medicine, Nihon University School of Medicine

キーワード :

【目的】
肝性腹水では腹水によるIVCの圧迫から腎静脈圧亢進が起こり,腎うっ血を生じる.また右心不全に伴ううっ血肝では下大静脈の血流のうっ滞が起こり,同様に腎うっ血を生じるといわれているが,腎静脈血流測定の報告は殆ど無い.今回腎うっ血評価のため,腎静脈の径,流速の測定を試みたので報告する.
【方法】
対象:2015年4月から12月に当科で加療中の肝疾患例,正常肝例.測定項目:IVC,左腎静脈,左区域腎静脈の径,流速を仰臥位で測定した.測定方法:IVCは心窩部縦走査で呼気時に測定した.左腎静脈は上腹部横走査でSMA交差部より腎臓側で測定した.区域腎静脈は左肋弓下走査でカラードプラを参考に測定した.各流速は3心拍が確認されたところで測定し,流速は平均血流速度を使用した.検討:各症例を腹水なし肝硬変,腹水あり肝硬変,うっ血肝,その他の4群に分けた.症例数は腹水なし肝硬変15例,腹水あり肝硬変7例,うっ血肝11例,その他18例.比較対象:①腹水なし肝硬変・腹水あり肝硬変・その他,②うっ血肝・その他,で比較検討を行った.
【結果】
①腹水なし肝硬変ではその他と比較して左腎静脈径の拡大傾向を認めた(腹水なし肝硬変:7mm,その他:5.6mm).腹水あり肝硬変ではその他と比較してIVC径が縮小している傾向があった(腹水あり肝硬変:10.7mm,その他:16.5mm).②うっ血肝ではその他と比較してIVC拡大が著明であり(うっ血肝:23mm,その他:16.5mm,P=0.0003),また左腎静脈径の拡大を認めた(うっ血肝:8mm,その他:5.6mm,P=0.0085).
【考察】
うっ血肝では血流のうっ滞によりIVCの拡大が生じるとともに左腎静脈径も拡大すると考えられた.
【結語】
超音波ドプラは腎うっ血の評価に有用である可能性が示唆された.