Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 肝:一般②

(S667)

経皮的ラジオ波焼灼療法後に肝外播種した肝表面・肝表面近傍肝細胞癌症例の検討

Extrahepatic seeding after percutaneous radiofrequency ablation of subcapsular hepatocellular carcinoma

池原 孝, 松清 靖, 荻野 悠, 松井 哲平, 塩澤 一恵, 和久井 紀貴, 渡邉 学, 五十嵐 良典, 住野 泰清

Takashi IKEHARA, Yasushi MATSUKIYO, Yuu OGINO, Teppei MATSUI, Kazue SHIOZAWA, Noritaka WAKUI, Manabu WATANABE, Yoshinori IGARASHI, Yasukiyo SUMINO

東邦大学医療センター大森病院消化器内科

Division of Gastroenterology and Hepatology, Department of Internal Medicine, Toho University Omori Medical Center

キーワード :

【目的】
肝実質経由で穿刺できない肝表面に存在する肝細胞癌(HCC)は,肝外播種の危険を考え原則的には腫瘍直接穿刺での経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)はされていないが,それが適切かどうかは明らかではなく,局在部位等の理由により直接穿刺せざるを得ない場合もある.肝表面・肝表面近傍のHCCに対するRFA後の肝外播種の可能性と成因,対策を検討する.
【対象】
2012〜2014年当科でRFA施行後1年以上経過観察できたHCC186例243病変のうち,肝裏面局在や超音波走査法変更等により肝実質穿刺経路を十分確保できる病変を除いた,肝表面から1cm以内の32例32(肝表面15,肝表面近傍17)病変.
【方法】
肝表面15病変のうち9病変は腫瘍周囲に複数本(回)電極針穿刺しRFA(no-touch ablation),6病変は肝実質経由せず直接穿刺しRFA,肝表面近傍17病変のうち8病変は肝実質0.5cm経由,9病変は肝実質1cm経由で腫瘍穿刺しRFAした.治療後画像検査で経過観察し肝外播種を認めた症例について検討した.
【結果】
2例2病変,全病変の0.8%,肝表面・肝表面近傍の病変の6.3%(肝表面0,肝表面近傍2病変)に腹膜播種を認めた.肝表面・肝表面近傍以外の病変には肝外播種を認めなかった.播種症例1: S5肝表面の径15mm多血性HCC.Cool-tip20mm針を肝実質経由せず直接腫瘍に穿刺しRFA.焼灼中疼痛で針の呼吸性移動が大きかった.10ヶ月後穿刺経路付近腹膜に播種(径10mm)を認め,Cool-tip10mm針でRFAした.播種症例2: S8横隔膜直下肝表面近傍の径23mm多血性HCC.Cool-tip30mm針で肝実質1cm経由し腫瘍穿刺してRFA.焼灼中疼痛で体動多く針が自然抜去,再度穿刺し続行.1年後左横隔膜直下腹膜に播種を認め肝動脈化学塞栓療法(TACE)した.2例とも播種治療後経過良好である.
【考察】
肝表面近傍病変は,RFA中腫瘍凝固が不完全な時に肝表面・腫瘍間で大きな針移動があると,穿刺部から出血と共に癌細胞が肝外播種し得る.十分なsedation等による体動・針移動の防止やno-touch ablationが必要と考えられる.また,腹膜播種に対してRFAやTACEは有用と考えられた.