Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 肝血流

(S662)

SMIを用いたC型慢性肝疾患に伴う血管改築過程の可視化

Visualization of the Hepatic Vascular Architecture Using SMI in Patients with HCV

三上 有里子1, 黒田 英克2, 藤原 裕大2, 阿部 珠美2, 武田 智弓1, 石田 秀明3, 石田 和之4, 菅井 有4, 滝川 康裕2, 諏訪部 章5

Yuriko MIKAMI1, Hidekatsu KURODA2, Yuudai FUJIWARA2, Tamami ABE2, Chiyumi TAKEDA1, Hideaki ISHIDA3, Kazuyuki ISHIDA4, Yuu SUGAI4, Yasuhiro TAKIKAWA2, Akira SUWABE5

1岩手医科大学中央臨床検査部, 2岩手医科大学内科学講座消化器内科肝臓分野, 3秋田赤十字病院超音波センター, 4岩手医科大学病理学講座分子診断病理学分野, 5岩手医科大学臨床検査医学講座

1Central Clinical Laboratory, Iwate Medical University, 2Division of Hepatology, Department of Internal Medicine, Iwate Medical University, 3Center of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital, 4Department of Molecular Diagnostic Pathology, Iwate Medical University, 5Department of Laboratory Medicine, Iwate Medical University

キーワード :

【背景】
C型ウイルス性肝炎では,慢性肝炎から肝硬変への進展過程において,炎症に伴う肝細胞壊死,線維化,再生が繰り返され,最終的に再生結節を伴った肝硬変への病的な組織リモデリングを来す.このリモデリング過程において,肝血管構築や血流動態も大きく変化することが指摘されており,これまで剖検肝の鋳型標本や血管造影検査を用いた報告が散見される.一方,Superb Microvascular Imaging(SMI)は,低流速レンジにおけるモーションアーティファクトを低減した高感度,高分解能なドプラ検査で,特に微細な血流信号の検出に優れている.今回我々は,SMIを用いてC型慢性肝炎から肝硬変に至る血管改築過程を観察し,血管形態変化という観点から肝線維化診断における有用性を検討した.
【方法】
対象は2015年1月から11月までにSMIと肝生検を施行したC型慢性肝疾患100名.機器はAplio500(Toshiba Medical Systems),探触子はPLT-705BT(7.0 MHz)を使用.SMIの撮動条件は,ROI: 40×25 mm2,MI値:1.5,Depth: 4.5 cm,Focus: 2.5 cm,Gain: 80,DR: 65,FR: 49-52 fps,CG: 40で固定し,Monochrome modeで門脈前下区域枝末梢を描出.第三者2名が,SMIの血管形態パターンを屈曲蛇行,細枝の僅少化,対照的樹枝状分枝の消失,集合接近化の程度から5段階に盲検的に層別化し,その頻度を比較した.また,SMI静止画より単位面積あたりの血管領域数(Vascular Number: VN)を算出し,肝機能検査値,肝線維化診断能について解析した.さらに血管内皮細胞マーカーであるCD34の免疫染色を行い,VNと門脈域におけるCD34発現(CD34 labeling index)を比較した.
【結果】
1)SMIの血管形態パターンは肝線維化ステージと有意な頻度分布を示した(p<0.001).2)肝線維化ステージ別のVNの平均値は,F0(21):26.69±7.08,F1(34):27.72±9.32,F2(11):36.74±9.23,F3(11):37.36±5.32,F4(23):58.14±14.08で,F4は他群より有意な高値を示した(p<0.01).F4診断時のAUROCは0.911(感度82.2%,特異度90.9%)であった.3)VNは血小板値,Alb,AST,PT,ヒアルロン酸,Ⅳ型コラーゲン7Sと有意な相関関係を認めた(p<0.01).また,VNは,CD34 labeling indexと有意な相関関係を認めた(r=0.617,p<0.0001).
【結語】
SMIを用い慢性肝疾患の進行に伴う血管改築過程の観察が可能であった.SMIはC型慢性肝疾患の線維化診断に有用で,特に肝硬変の識別に優れていた.