Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 肝腫瘍:治療②

(S662)

肝動注リザーバー留置ポートを使用した造影超音波の有用性について:初期経験

Usefulness of contrast enhanced ultrasonography for liver tumors using arterial port-catheter system

塩澤 一恵1, 渡邉 学1, 池原 孝1, 松清 靖1, 高亀 道生1, 和久井 紀貴1, 工藤 岳秀2, 丸山 憲一2, 五十嵐 良典1, 住野 泰清1

Kazue SHIOZAWA1, Manabu WATANABE1, Takashi IKEHARA1, Yasushi MATSUKIYO1, Michio KOGAME1, Noritaka WAKUI1, Takahide KUDO2, Kenichi MARUYAMA2, Yoshinori IGARASHI1, Yasukiyo SUMINO1

1東邦大学医療センター大森病院消化器内科, 2東邦大学医療センター大森病院臨床生理機能検査部

1Division of Gastroenterology and Hepatology, Department of Internal Medicine, Toho University Medical Center, Omori Hospital, 2Department of Clinical Functional Physiology, Toho University Medical Center, Omori Hospital

キーワード :

【目的】
造影超音波(CEUS)は造影剤投与時からリアルタイムに関心領域の染影動態を観察することが可能で,肝細胞癌(HCC)を中心とした肝腫瘍および肝実質の血流動態の評価に非常に有用である.一方,進行HCCや多発肝転移に対する治療の一つとして肝動注リザーバーによる肝動注化学療法(HAIC)があるが,その効果は肝動注リザーバーからの血流分布などに影響される可能性が考えられ,適宜CTやDigital Subtraction Angiography(DSA)などによるflow checkが重要となる.今回,われわれは肝動注リザーバー留置ポートからソナゾイド®を投与し,経動脈的CEUS(以下IAUS)を施行,進行HCCや肝転移治療に対するその有用性について検討した.
【方法】
対象は肝動注リザーバーが留置されたHCC9例,胆嚢癌多発肝転移1例,男性8例,女性2例,平均年齢57.3歳.右胃動脈や後上膵十二指腸動脈の塞栓など適切な血行改変を行った後,肝動注リザーバーを胃十二指腸動脈(9例)または右肝動脈(1例)に留置し,全例右大腿部皮下にポートを埋没した.超音波診断装置は東芝AploiXG,3.75MHZコンベックスプローブを使用,MI値は0.2,焦点位置は結節下縁に設定,ソナゾイド®は0.5mlを蒸留水19.5mlで希釈し使用した.HAIC前やHAIC後に留置ポートより希釈したソナゾイド® 0.1〜0.3mlを適宜投与し,IAUSを施行,腫瘍や肝実質,周囲臓器などの染影動態について評価した.本検討は当院倫理委員会の承認を得ている.
【結果】
IAUSでは詳細に肝腫瘍に対する治療効果を確認することができた.また,肝実質の血流分布(領域による染影動態の相違),門脈腫瘍栓への染影動態(造影剤が到達しているかどうか),肝硬変または腫瘍によるA-Pシャントの有無,胃前庭部〜十二指腸球部壁や胆嚢壁の染影の有無についても確認することができた.この結果をもとに,HCC1例,胆嚢癌多発肝転移1例に対して留置ポートから安全にDEB-TACEを施行することが可能であった.当日症例を提示する.
【結語】
IAUSにおいてもCTやDSAと同様にflow checkが可能で,治療効果や周囲臓器を含めた血流動態を評価することができた.小数例の検討ではあるが,IAUSは進行HCCや肝転移に対する治療やその評価の一助となる可能性が示唆された.