Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 肝線維化④

(S659)

Fontan型術後における肝硬度測定の有用性の検討

Study of the usefulness of liver stiffness in Fontan surgery remote period

友國 淳子1, 高畠 弘行2, 荻野 佳代3, 佐原 朗子1, 守本 洋一2, 詫間 義隆4, 筑地 日出文1, 橋本 徹1

Junko TOMOKUNI1, Hiroyuki TAKABATAKE2, Kayo OGINO3, Akiko SAHARA1, Yoichi MORIMOTO2, Yoshitaka TAKUMA4, Hidefumi CHIKUJI1, Toru HASHIMOTO1

1公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院医療技術部臨床検査技術部, 2公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院消化器内科, 3公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院小児科, 4広島市民病院消化器内科

1Laboratory Medicine, Kurashiki Central Hospital, 2Department of Gastroenterology and Hepatology, Kurashiki Central Hospital, 3Department of Pediatrics, Kurashiki Central Hospital, 4Department of Gastroenterology, HIroshima City Hiroshima Citizens Hospital

キーワード :

【背景】
Fontan型手術は左心低形成をはじめとする単心室血行動態の治療として確立しているが,近年遠隔期における肝線維化,肝硬変,肝癌の発症などの報告がある.その原因として,Fontan循環の静脈圧の上昇による肝うっ血が関与しているのではないかといわれている.今回我々は,Fontan型術後期の患者に対しTouch Tissue Quantification(以下VTQ)を測定し有用性を検討した.
【対象】
1993年〜2011年までにFontan型手術を施行し,遠隔期経過観察中にVTQを測定し得た26例(男性20例,女性6例,平均年齢19±7.3歳),Fontan術から測定日までの経過年数4〜25年(平均13±5.1年)基礎主疾患は大血管転位4例,左心低形成症候群6例,両大血管右室起始症8例,単心室6例,肺動脈閉鎖症1例.
【方法】
腹部超音波(以下US)にて,うっ血,肝腫大,辺縁鈍化,実質輝度,実質の粗雑さ,実質内高輝度エコーの7項目の有無を観察.さらにVTQによる肝硬度測定(使用装置:シーメンス社製ACUSON S2000)を行い,これらと血液データ(AST,ALT,T-Bil,PLT,PT%,ヒアルロン酸,p-3-p,4型コラーゲン),心臓カテーテル検査における中心静脈圧,駆出率(EF%)との関連性を検討した.
【結果】
VTQは中心静脈圧(r=0.540,p<0.006),EF(r=0.645,p<0.007)と,術後年数はヒアルロン酸(r=0.452,p<0.121),PT%(r=0.543,p<0.003),粗雑さ(r=0.533,p<0.004)と弱い相関を示した.また,肝実質の粗雑さはEF(r=0.563,p<0.023),ヒアルロン酸(r=0.424,p<0.149),PT%(r=0.581,p<0.001)と相関を示した.
【考察】
今回の検討で線維化マーカーと有意差は認められなかったが,すべての症例においてVTQは高値を示していた.実質の粗雑さや線維化マーカーの上昇が術後年数に関与している可能性が示唆された.慢性のうっ血状態にあると考えられるFontan術後遠隔期の肝実質では線維化が進行している可能性があるが,線維化診断のための肝生検は実施されていない.現在ではVTQはウイルス肝炎などにおいて,線維化の指標になると報告されており,VTQなどの肝硬度を測定することにより,Fontan型術後の肝実質の線維化の進行状態を予想できる可能性がある.一方で,肝線維化の進行因子として,静脈圧の上昇が報告されている例もあり,VTQの上昇が静脈圧の上昇を示唆する可能性もある.
【結語】
Fontan術後の遠隔期において,腹部超音波による肝の状態の観察,VTQにおける肝硬度の測定は肝線維化や肝癌発症の指標になる可能性があると考える.また,長期に観察することによって心機能も反映する可能性もあることが示唆された.今後さらに症例数を増やして定期的な検証が必要である.