Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 胆・膵②

(S650)

体外式超音波検査による小膵癌診断の現状と対策

The diagonosis of small pancreatic carcinoma using ultrasound examanation;Current status and provision

橋本 眞里子1, 西村 貴士1, 2, 西村 純子1, 東浦 晶子1, 柴田 陽子1, 會澤 信弘1, 2, 鈴村 和大3, 藤元 治朗3, 廣田 誠一4, 飯島 尋子1, 2

Mariko HASHIMOTO1, Takashi NISHIMURA1, 2, Junko NISHIMURA1, Akiko HIGASHIURA1, Yoko SHIBATA1, Nobuhiro AIZAWA1, 2, Kazuhiro SUZUMURA3, Jiro FUJIMOTO3, Seiichi HIROTA4, Hiroko IIJIMA1, 2

1兵庫医科大学超音波センター, 2兵庫医科大学肝・胆・膵内科, 3兵庫医科大学肝胆膵外科, 4兵庫医科大学病院病理部

1Depertment of Ultrasound Imaging Center, Hyogo College of Medicine, Hyogo, Japan, 2Depertment of Internal Medicine, Division of Hepatobiliary and Pancreatic Disease, Hyogo College of Medicine, Hyogo, Japan, 3Depertment of Surgery, Division of Hepatobiliary and Pancreatic Disease, Hyogo College of Medicine, Hyogo, Japan, 4Depertment of Surgical Pathology, Hyogo College of Medicine, Hyogo, Japan

キーワード :

【はじめに】
従来,膵癌の早期発見の腫瘍径は2cm以下(TS1)が一つの目安とされてきた.また,日本膵臓学会が2007年集計した膵癌登録では,TS1のうちStageⅠの5年生存率は54.6%であったがTS1症例がStageⅠに相当する割合は膵頭部癌でわずか15.3%,膵体尾部癌で33.3%と低率であり,長期予後を可能にするには早期の膵癌診断が不可欠であることが示唆されている.超音波検査は低侵襲で広くスクリーニング検査に用いられているが,腫瘍描出率は52〜63%と低率であり,患者側の種々の条件により描出困難なことも多く健診のスクリーニングから省かれる施設もある.
今回,2009年1月から2015年9月までに当院で手術施行した膵癌101症例中,Stage0,StageⅠ,9例(9/101;9%)を検証し,特に3例について文献的考察を加えて報告する
【症例1】
50歳代男性.胃がん内視鏡的粘膜下層剥離術後の経過観察中,超音波検査(US)で膵臓に5mm,2mmの嚢胞以外,明らかな腫瘤像は認めなかった.9か月後,膵嚢胞followのUSにて嚢胞に接して16mmの低エコー腫瘤を指摘.内部に5mmの嚢胞領域と微小なstrong echoを認めた.腫瘤尾側で5mm前後に拡張,蛇行した膵管を認めた.CTでは膵管の拡張・蛇行は認めたが明らかな腫瘤を指摘できなかった.MRIではDWIで軽度高信号,造影Dynamic studyで遷延性濃染を認め,膵癌と考えた.以上より膵体尾部切除術が施行された.病理組織学的にはAdenocarcinoma, T1N0M0(StageⅠ)であった.
【症例2】
80歳代女性.人間ドックにてCA19-9 49を指摘され,精査目的にて受診.CT,MRIともに膵尾部に膵管拡張を認めたが明らかな腫瘤はなし.約4か月後のUSにて体尾部に約8mmの境界不明瞭な淡い低エコー領域を認め,EUSにて同様の結果となった.積極的に膵癌を疑い,膵体尾部切除術を施行した.病理組織学的にはIntraductal carcinoma, TisN0M0(Stage0)であった.
【症例3】
60歳代男性.口渇等を自覚し,近医受診.糖尿病精査時にCT施行し,膵尾部に腫瘍性病変を指摘された.HbA1c 12.5,CA19-9 1180.USでは膵尾部に19mmの低エコー腫瘤を認める(左肋間走査).膵癌と診断され膵体尾部切除術が施行された.病理組織学的にはAdenocarcinoma, T1N0M0(StageⅠ)であった.
【考察】
全国集計における膵癌の発見契機となった画像診断法はUS Bモードが最も多い.膵の描出は解剖学的な位置関係の理解と描出法の工夫に加え,高周波プローブの使用など超音波装置の機能を駆使することにより描出能は向上した.しかし小膵癌は依然として腫瘍を描出することは難しい.間接所見としての主膵管の拡張や膵嚢胞,膵管分枝の限局性拡張,胆管拡張などの拾い上げが重要である.今回の症例においても膵管拡張,膵嚢胞が診断に繋がった.患者の体型や状態,腫瘍の存在部位による限界もあることも念頭に置き,早期発見に取り組むことが必要と考える.