Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 胆・膵①

(S647)

胆嚢ポリープの自然脱落例の検討

Natural regression of gallbladder polyps

佐戸 由紀子1, 岡野 真紀子1, 大坪 民子1, 柿沢 愛子1, 池田 和典1, 峰岸 正明1, 金田 暁2, 斉藤 正明2, 山本 修一3, 杉浦 信之2

Yukiko SADO1, Makiko OKANO1, Tamiko OTSUBO1, Aiko KAKIZAWA1, Kazunori IKEDA1, Masaaki MINEGISHI1, Satoru KANEDA2, Masaaki SAITOU2, Shuichi YAMAMOTO3, Nobuyuki SUGIURA2

1国立病院機構千葉医療センター臨床検査科, 2国立病院機構千葉医療センター内科, 3千葉大学医学部附属病院検査科

1Clinical Laboratory, National Hospital Organization Chiba Medical Center, 2Internal Medicine, National Hospital Organization Chiba Medical Center, 3Clinical Laboratory, Chiba University Hospital

キーワード :

【目的】
胆嚢ポリープは検診などで5-10%に観察され,最大径10mm前後のポリープは経過観察されることが多い.経過中に増大や縮小する例もあり大きさの変化は重要である.今回,ポリープ径の変化の判定が比較的容易な最大径8mm以上のポリープのなかで経過観察中に自然脱落した例について超音波所見を中心に経過を検討した.
【対象と方法】
対象は1992年から2015年の間に自然脱落が観察された最大径8mm以上の胆嚢ポリープ22例(男性7例,女性15例)である.自然脱落の定義は4mm以上の径の縮小が2回連続して確認できた症例とした.超音波検査によりポリープの数,形態,部位,胆石合併,ポリープ径の経過について検討した.
【結果】
胆嚢ポリープ脱落時の年齢は27歳から82歳であり,40歳未満は1例,40-60が10例,61以上が11例であった.胆嚢ポリープが単数であったものは14例,複数であったもの8例であり,脱落したポリープの形態は乳頭状単純が18例,乳頭状分葉が4例であった.脱落したポリープの部位は体部が18例,頚部が4例であり,体部のポリープのなかで肝臓側にみられたものは9例,十二指腸側が9例と同数であった.脱落前に胆石を合併していたものは3例であり,脱落後に胆石が出現した例が4例にみられ,そのなかでポリープの脱落観察時に胆石が同時に出現し,脱落と関係ありと考えられたものが3例であった.ポリープ脱落後,ポリープが2mm以下にほぼ消失した例は6例であり,脱落確認まで段階的に径が縮小したものが3例にみられた.脱落後5年以上超音波で経過観察できた例は11例であり,そのなかで3mm以上の明らかなポリープの大きさが増大したものはみられなかった.脱落確認後,さらにポリープの径が縮小してものは1例のみであった.脱落が観察される前にポリープの増大が観察され,その後脱落がみられたものは3例であり,5年以上の経過観察例では,脱落後に増大はみられなかった.8mm大のポリープの経過観察中に急性胆嚢炎を発症した例が1例みられ,胆嚢炎軽快後の超音波検査でポリープがみられた部位に2mm大の小隆起が観察された.急性胆嚢炎の原因となる疾患はなく,自然脱落したポリープ塊が胆嚢炎を惹起したと考えられた.
【考案と結語】
胆嚢ポリープは超音波検査で高頻度にみられ,これまでの報告でも10mm以下の胆嚢ポリープは増大する例が5年間で3%と低頻度であり,ほとんど変化を認めないとの報告が多く,頻度はさらに少ないが脱落による縮小,消失の報告もみられる.今回の検討では,比較的大きなポリープの自然脱落では,徐々に脱落した例は少なく,脱落後も明らかな増大や縮小例はみられなかった.また,脱落確認時の超音波検査で胆石が新たにみられた例があり,胆石生成の一因となる可能性が示唆された.急性胆嚢炎を呈した例では胆嚢ポリープが無石胆嚢炎とされた例の中に含まれる可能性も示唆された.今回の検討ではポリープが単数であった例が多かったが,ポリープの数が多い場合,脱落がみられたポリープの同定を誤認することや,術者が変わると所見が一致しないこともあり,注意深い観察と所見の記載が必要と考えられた.