Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 肝腫瘍:治療①

(S644)

低音圧Tissue Harmonic Imagingによる造影超音波の検討

Study of low MI tissue harmonic imaging by contrast enhanced ultrasonography

横川 美加1, 前野 知子1, 塩見 香織1, 前川 清1, 矢田 典久2, 依田 広2, 南 康範2, 樫田 博史2, 工藤 正俊2

Mika YOKOGAWA1, Tomoko MAENO1, Kaori SIOMI1, Kiyoshi MAEKAWA1, Norihisa YADA2, Hiroshi IDA2, Yasunori MINAMI2, Hiroshi KASHIDA2, Masatoshi KUDO2

1近畿大学医学部中央超音波診断・治療室, 2近畿大学医学部消化器内科

1Division of Ultrasound, Diagnoshis and Treatment, KINDAI University Faculty of Medicine, 2Depertment of Gastroentology and Hepatology, KINDAI University Faculty of Medicine

キーワード :

【背景】
肝細胞癌の治療方法として超音波ガイド下で行なうラジオ波焼灼療法(以下RFA)が普及し,RFA時にソナゾイド®造影超音波(以下CEUS)の併用も広く使用されています.CEUSの撮像方法もPhase inversionやAmplitude modulation等が使用され,対象腫瘍の位置確認のため,CTやMRI画像とのFusionも盛んに行なわれている.
治療対象の肝の線維化が高度にある場合や対象位置が深部にある場合などB-modeや造影モードでの描出能が著しく低下し,対象の輪郭が不明瞭で治療時における術者のストレスにもなっていた.
今回,我々は低音圧Tissue Harmonic Imaging(以下LMI-THI)をCEUSの後血管相に用いて造影超音波ガイド下の穿刺治療への応用を考えたので報告する.
【対象】
肝腫瘍の精査および治療後再発の目的で実施したCEUS検査の中で後血管相にてLMI-THIにて撮像した164例(男性109例,平均年齢69.6歳,女性55例,平均年齢66.6歳)で内訳は肝細胞癌134例,転移性肝癌11例,その他19例(血管腫13例,FNH6例)であった.また,各症例の診断は切除組織,針生検および各種画像診断で実施した.
【使用装置及び方法】
LMI-THIの設定は超音波装置LOGIQ E9 with XD clearを用いて(プローブは新しく搭載されたC1-6)標準のTHIモードの音圧を0.20(0.15〜0.30)前後に調整し,装置の内部に記憶させ,CEUS検査時にワンキー操作で切り替える設定した.
ソナゾイド®造影剤は0.010ml/kg,体重10kgで調整(例:体重50kgで0.5ml,55kgで0.6mlの静注)で実施した.撮像はPhase inversion(以下PI法)で行ない,後血管相の撮像をPI法とLMI-THIで実施し,比較した.
【結果】
結果① 治療後(RFA及びTACE)を除く肝細胞癌100例(平均径14.1mm,平均Depth7.5cm)ではB-modeでHighが26例でPI法では全てLow,LMI-THIでは23例がLowであったが3例はIsoとなった.また,B-modeでLowが73例でPI法では67例がLowで6例がIso,LMI-THIでは64例がLowで9例がIsoとなった.B-modeがIsoな症例はPI法,LMI-THIともにIsoであった.結果② RFA治療後の肝細胞癌30例(平均径20.5mm,平均Depth7.5cm)ではB-modeでHighが20例でPI法ではLowが18例でHighとIsoが1例,LMI-THIでは全てがLowであった.B-modeでLowが6例でPI法,LMI-THIともLowとなった.B-modeがIsoな4症例はPI法ではLow,LMI-THIでは3例がLowで1例がIsoであった.結果③ 転移性肝癌11例ではB-modeに関わらずPI法,LMI-THIでLowとなった.肝血管腫13例ではPI法でLowが10例,Isoが4例に対してLMI-THIではLowが6例,Isoが7例,Highが1例であった.FNH6例ではPI法,LMI-THIともにIsoとなった.
【まとめ】
LMI-THIによる撮像ではPI法に比較し,腫瘍の輪郭や境界が明瞭化し,深部病変の描出では視認性が高く,治療に使用が可能と考える.しかし,PI法に比較しコントラスト分解能が劣るため未治療のHCC100例で12例の12%がIsoを示したことから今後とも視認性の向上とコントラスト分解能の改善が必要である.