Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 肝:症例①

(S636)

超音波検査が有用であったBudd-Chiari症候群の一例

One cases of Budd-Chiari syndrome ultrasonography was useful

大海 延也1, 新藤 智子2, 坂上 佳奈1, 矢吹 美樹1, 小口 徳之1, 武智 千津子4, 京籐 幸重3, 青野 茂昭2

Nobuya DAIKAI1, Tomoko SHINDOU2, Kana SAKANOUE1, Miki YABUKI1, Noriyuki KOGUCHI1, Chizuko TAKECHI4, Yukishige KYOUTOU3, Shigeaki AONO2

1自衛隊中央病院診療技術部臨床検査課, 2自衛隊中央病院内科, 3自衛隊中央病院放射線科, 4自衛隊横須賀病院内科

1Clinical Examination Division, Celf-Defence Forces Central Hpspital, 2Internal Medicine, Celf-Defence Forces Central Hpspital, 3Radiology Department, Celf-Defence Forces Central Hpspital, 4Internal Medicine, Celf-Defence Forces Yokosuka Hpspital

キーワード :

症例は42歳男性.現病歴は2014年,意識障害認め他院受診,アルコール性肝障害による肝性脳症と診断され投薬治療.2015年2月腹部造影CTにて肝静脈の描出不良,USにて肝静脈走行異常を認め,Budd-Chiari症候群疑いとして当院紹介入院となる.
生活歴はアルコール週4回,ビール1本,焼酎1合.喫煙は20-30歳,20本/日.
入院時検査は,γ-GTP,ヒアルロン酸,Ⅳ型コラーゲンの軽度高値を認めるのみであった.
超音波検査では肝内部エコーは粗雑で尾状葉の腫大を認めた.左中右肝静脈は全て肝静脈尾状葉枝に開口し,肝静脈尾状葉枝の下大静脈開口部に薄い膜様狭窄を認めた.Color Dopplerでは膜様狭窄部に一致して加速血流を認め,FFTでは8.3mmHgの圧格差であった.Bモード上の膜様狭窄部径は計測上5×3mm大であった.Sonazoid®による造影エコーでは,下大静脈内に肝静脈尾状葉枝からの血流がnegative contrastとして描出された.
腹部造影CTでは,肝静脈走行が淡く描出されたがコントラスト不良で,狭窄部は不明瞭であった.
肝針生検では,中心静脈周囲主体の線維化や類洞のうっ血,cytokeratin 7陽性を示す肝細胞集蔟が認められBudd-Chiari症候群に矛盾しない所見であった.
以上より肝静脈走行異常を伴う肝静脈開口部膜様狭窄によるBudd-Chiari症候群と診断し,肝静脈狭窄部のIVR(バルーン拡張術)が施行された.
下大静脈造影では,肝静脈尾状葉枝からの血流が3mm程度のnegative flowとして認められ,造影超音波所見と一致した.逆行性肝静脈造影では肝静脈の全体像は描出不良であった.静脈圧計測では狭窄部に7mmHgの圧格差を認めた.肝静脈開口部の膜様狭窄に対し,バルーンPTAを行った.3mmと思われた狭窄部径は6×11mmに拡張した,平均圧格差は7mmHgから3mmHgへ低下した.超音波でも,圧格差は8.3mmHgから3.0mmHgに低下し,狭窄部径も5×3mmから7×5mmに拡張した.
超音波検査が肝静脈走行評価や静脈狭窄部性状診断のみならず,造影超音波による静脈狭窄部の評価,IVR前後の圧格差計測による治療効果判定に有用であった.