Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 肝:症例①

(S635)

再燃時に肝内胆管周囲低エコー所見が観察されたIgG4関連硬化性胆管炎3例の経験

Three cases with IgG4 related sclerosing cholangitis presenting with hypoechoic area surrounding intrahepatic bile duct

石田 祐介, 岡部 義信, 安元 真希子, 酒井 味和, 阪上 尊彦, 倉岡 圭, 牛島 知之, 鶴田 修, 鳥村 拓司

Yusuke ISHIDA, Yoshinobu OKABE, Makiko YASUMOTO, Miwa SAKAI, Takahiko SAKAUE, Kei KURAOKA, Tomoyuki USHIJIMA, Osamu TSURUTA, Takuji TORIMURA

久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門

Division of Gastroenterology, Department of Medicine, Kurume University School of Medicine

キーワード :

【はじめに】
IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)は自己免疫性膵炎(AIP)を効率に合併し,ステロイドの反応性が良好とされるが,しばしば再燃例に遭遇する.IgG4-SC臨床診断基準2012では肝内外胆管にびまん性あるいは限局性の特徴的な狭窄像と壁肥厚を伴う硬化性病変と定義されており,主として直接胆管造影による評価が望ましいとされている.しかし経過観察法や再燃予測に関しては今後の検討課題と考えられる.そうした中,今回IgG4-SC再燃時に腹部超音波検査(US)で肝内胆管周囲の低エコー領域が認められた症例を経験したため報告する.
【症例報告】
症例1)50歳代男性,AIP/IgG4-SCの診断でステロイド40mg/dayより開始し,内視鏡的胆道ドレナージチューブ(EBD tube)留置を併用した.EBD tubeを留置したままステロイドの減量を行ったが,ステロイド投与開始4ヶ月目(維持療法としてステロイド5mg/day投与中)に肝内胆管周囲に低エコー領域が観察され,肝胆道系酵素の変動が出現した.EBD tube抜去時の胆道造影にてIgG4-SCの再燃と診断し,ステロイドを20mg/dayまで増量することで閉塞性黄疸は解除された.以後ステロイドを5-10mg/dayまで減量するとIgG4-SCの再燃を繰り返したが,この間ステロイドの増量にて肝胆道系酵素が落ち着いている状態においても肝内胆管周囲の低エコー領域が残存していた.しかし初発から4年経過した頃より同所見は観察されなくなり,以後IgG4-SCの再燃なく経過している.症例2)60歳代男性,肝外胆管癌の診断にて膵頭十二指腸切除術が施行されたが,術後病理診断はIgG4-SCであった.術後1年6ヶ月後頃より肝内胆管周囲の低エコー領域が出現し,同時に肝胆道系酵素の変動もみられた.その後黄疸の出現には至らなかったためステロイド投与は行われず経過観察となったが,術後3年目頃より肝内胆管周囲の低エコー領域は消失し,肝胆道系酵素の変動は見られなくなった.症例3)60歳代男性,胃癌の術前精査中にAIP/IgG4-SCが判明した.胃癌術後1ヶ月目より閉塞性黄疸が出現したためステロイド35mg/dayより開始し,閉塞性黄疸の改善をみたため以後漸減した.しかしステロイド投与開始1年の時点(維持療法としてステロイド5mg/day投与中)で肝内胆管周囲の低エコー領域が出現し,その後再度閉塞性黄疸が出現した.ステロイドを20mg/dayまで増量したところ閉塞性黄疸は解除されたが,ステロイド10mg/day以下にまで減量すると閉塞性黄疸が再燃する状態が現在も続いており,肝内胆管周囲の低エコー領域は残存したままである.
【考察】
いずれの症例も初診時には認めていなかった肝内胆管周囲低エコー領域がIgG4-SCの再燃時に出現していた.またIgG4-SCの再燃時には,初診時とは異なりステロイドによる治療導入および膵頭十二指腸切除術の影響で背景肝は脂肪肝を呈していた.今回の肝内胆管周囲低エコー領域と病理所見の対比はできていないが,3例中2例では肝内胆管周囲低エコー領域の消失と共に肝胆道系酵素の変動が改善しているため,IgG4-SCの病勢を反映していることが臨床的に示唆された.脂肪肝の目立たない症例では同定が困難な可能性があるが,USによる肝内胆管周囲低エコー領域の出現は,IgG4-SCの肝内胆管病変の増悪を非侵襲的に予測する有用なツールとなりうると考えられた.