Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 門脈・脾

(S632)

バルーン閉塞下経静脈的塞栓術施行時の超音波による門脈血流測定の有用性の検討

Utility of the portal blood flow measured by ultrasound at the time of balloon-occluded retrograde transvenous obliteration

福井 悠美, 佐伯 一成, 花園 忠相, 日髙 勲, 高見 太郎, 坂井田 功

Yumi FUKUI, Issei SAEKI, Tadasuke HANAZONO, Isao HIDAKA, Taro TAKAMI, Isao SAKAIDA

山口大学大学院医学系研究科消化器病態内科学

Department of Gastroenterology and Hepatology, Yamaguchi University Graduate School of Medicine

キーワード :

【背景】
近年,門脈圧亢進症に伴う胃静脈瘤,門脈大循環シャントに対する治療が一般化され,我々の施設でもバルーン閉塞下経静脈的塞栓術(B-RTO)を積極的に行っている.B-RTO施行前後では血流動態が大きく変わることが予測されるが,侵襲的な血管カテーテル検査で繰り返し評価することは困難である.そこで,腹部超音波検査(US)にて非侵襲的に門脈系を評価し,治療前後での変化について検討した.また,肝硬度・脾硬度についても併せて評価することとした.
【対象と方法】
2013年5月より2015年10月までに,当科でB-RTOを施行した18症例を対象とした.平均年齢は68.1歳,男性10例/女性8例,Etiology HBV 1例/HCV 6例/Alcohol 8例/NASH 1例/その他2例.B-RTO施行目的は胃静脈瘤11例/肝性脳症7例であった.
治療介入前1週間以内および治療後1週間に血液検査・US,治療後1ヶ月に血液検査を実施し,B-RTO施行前後での各種血液検査,門脈系の推移について検討した.超音波診断装置はAscendus(日立アロカメディカル社)を,探触子はEUP-C715を使用した.また,組織弾性度評価は同機種によるReal-time elastography(RTE)に加えて,Fibroscan(Echosens社)を用いて肝臓および脾臓について評価した.
【結果】
B-RTO施行前後のChild-Pugh scoreは改善6例/不変10例/増悪2例であった.治療前後での各種血液検査の推移についてみると,有意に改善するパラメータとしては,Alb平均値(治療前→治療後1ヶ月):3.2g/dl→3.4 g/dl(p=0.0095),ICG 15min平均値(治療前→治療後1ヶ月):29.2%→21.6%(p=0.0419),Cho-E平均値(治療前→治療後1ヶ月):139.1IU/l→170.1IU/l(p<0.0001)であった.また,AT-Ⅲ平均値(治療前→治療後1ヶ月):72.6%→78.5%(p=0.0791),アンモニア平均値(治療前→治療後1ヶ月):78.5μmol/l→67.0μmol/l(p=0.1685)に関しても,有意差はないが改善する傾向にあった.
USの所見としては,B-RTO施行前後で改善する傾向のあるパラメータは,PV flow volume(門脈右枝)平均値(治療前→治療後1週間):0.23L/min→0.31L/min(p=0.0978)であった.また,アンモニアの改善率と有意に相関しているのは,SPV flow volumeの改善率(r=0.8031,p=0.0164)であった.肝・脾硬度に関しては,RTE/Fibroscanともに有意な変化はなかった.
【考察】
B-RTOにより肝予備能が改善する症例があり,その機序としては門脈血流の増加が想定される.本検討では,元来侵襲的なアプローチが必要であった門脈系の血流評価をUSで行い,治療前後での血流の推移を把握することができた.
【結論】
USは非侵襲的検査で繰り返し施行が可能であり,B-RTO施行時の門脈血流評価に有用である.