Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 肝:一般①

(S630)

原発性胆汁性肝硬変で見られる網目様所見(wire netting appearance)について

Sonographic Appearance of Primary Billary Cirrhosis, The“Wire Netting Appearance”

荻野 悠

Yu OGINO

東邦大学医療センター大森病院消化器内科

Division of Gastroenterology and Hepatology, Toho University Omori Medical Center

キーワード :

【はじめに】
慢性肝疾患の肝実質超音波像の特徴について,成因別の検討はあまりされていない.以前,竹内らはB型肝硬変の超音波所見の特徴像として,肝実質に小網目状のエコーが目立つメッシュパターンを提唱した.我々の施設の経験では,上記のメッシュパターンによく似た所見を原発性胆汁性肝硬変(PBC)の患者にも一定の割合で見られることを経験しており,この網目状の所見をwire netting appearance(金網状:WNA)と呼び,日常の臨床で用いている.
【目的】
WNAがPBCに特徴的な所見であるどうかを明らかにする.
【対象】
2010年4月から2015年3月までに当施設で臨床的診断および肝生検でPBCと診断された105例(男性25例,女性80例,年齢平均65歳)また,同時期に経験されたB型慢性肝疾患32例,C型慢性肝疾患182例も併せて検討した.
【方法】
装置は東芝社製AplioXG,3.5MHzコンベックスプローブを使用し,肝生検前に腹部超音波検査を行った.肋弓下横走査で肝臓をスイープし,網目状の肝実質像を呈したものをwire netting appearance(WNA)陽性とした.尚,本研究は当院倫理委員会承認のもと行った.
【結果】
PBC 105例中30例(28.6%)にWNAを認めた.一方,対照症例においてはHBV 32例中9例(28.1%),HCV 182例中3例(1.6%)で網目様所見を認めた.
【まとめ】
PBCの中でWNAを呈する症例が約1/3にあることが明らかになった.
メッシュパターンはB型肝硬変に特徴的な所見とされるが,それに良く似たWNAを認めた際には,PBCを考慮する必要があると考えた.