平賀 真雄¹, 塩屋 晋吾¹, 中村 克也¹, 坂口 右己¹, 佐々木 崇¹, 有馬 大樹¹, 林 尚美², 大久保 友紀², 肘黒 公博³, 重田 浩一朗⁴

Masao HIRAGA¹, Shingo SHIOYA¹, Katuya NAKAMURA¹, Yuuki SAKAGUTI¹, Takashi SASAKI¹, Daiki ARIMA¹, Naomi HAYASHI², Yuuki OOKUBO², Tomohiro HIJIKURO³, Kouitirou SHIGETA⁴

¹霧島市立医師会医療センター医療技術部放射線室, ²霧島市立医師会医療センター医療技術部臨床検査室, ³霧島市立医師会医療センター循環器科, ⁴霧島市立医師会医療センター消化器科

¹Department of Radiology, Kirisima Medical Center, ²Department of Laboratory, Kirisima Medical Center, ³Department of Cardiology, Kirisima Medical Center, ⁴Department of Gastroenterology, Kirisima Medical Center

キーワード :

【背景】
びまん性肝疾患の診療において肝線維化を正しく診断することは非常に重要である．肝生検は肝線維化診断のゴールドスタンダードとされているが侵襲的な検査である．近年，フィブロスキャンをはじめとする非侵襲的な方法で肝硬度を測定し肝線維化を診断する事の有用性が数多く報告されている．また，フィブロスキャンは肝硬度を測定できるのみならず，Controlled Attenuation Parameter（以下CAP）を測定することで，肝内の脂肪沈着の定量を可能にしている．
【目的】
フィブロスキャンの測定方法について，①測定回数による影響，②体位による影響，③肝硬度（以下stiffness）とCAPの関係について検討したので報告する．
【方法】
対象は2015年11月2日より12月10日にフィブロスキャン（Fibro Scan touch502，Mプローブ）を用いてstiffness（IQR/med 20％以下）およびCAPを測定した，びまん性肝疾患に罹患している男性23例，女性43例である．①連続した測定で5回目と10回目でのstiffnessとIQR/medの変化を比較した．②仰臥位，左側臥位，右側臥位でそれぞれ5回測定し，a．体位別のstiffnessの変化，b．仰臥位を基準とした左側臥位，右側臥位のstiffnessの変化量と仰臥位でのstiffnessとの相関，c．変化量とBMIとの相関を検討した．③stiffnessとCAPのIQR/medがいずれも20％以下の46例を対象にstiffnessとCAPの相関を検討した．統計学的検討はMann-Whitney Test，Pearson’s correlation coefficientを用いた．
【結果】
①stiffnessの5回目の中央値4.7kPa，IQR/med8.0，10回目の中央値4.6kPa，IQR/med10.0で有意差は確認できなかった．②-a stiffnessの中央値は仰臥位5.1kPa左側臥位6.9kPa右側臥位6.2kPaで仰臥位と左側臥位間で有意差（p＜0.01）があった．②-b仰臥位stiffnessと仰臥位左側臥位stiffness差（r=- 0.07），仰臥位右側臥位stiffness差（r=0.10）で相関関係は確認できなかった．②-c BMIと仰臥位左側臥位stiffness差（r=- 0.11），仰臥位右側臥位stiffness差（r=0.07）で相関関係は確認できなかった．③stiffnessとCAPの間に（r=0.11）相関関係は確認できなかった．
【結論】
①測定回数は5回測定と10回測定での有意差はなく臨床での測定は5回測定で充分精度のある結果が得られる事がわかった．②測定時の体位はstiffnessへの影響が考えられ，同一の体位での測定が必要である．③CAPはstiffnessの影響はなく肝線維化の超音波減衰は考慮する必要がない事がわかった．