Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 肝:一般①

(S629)

びまん性肝疾患の超音波診断における至適画像深度の検討-残留エコーの影響について-

Artifact of ultrasonography in diagnosing diffuse liver disease

若杉 聡1, 梅木 清孝1, 保坂 祥介1, 佐藤 晋一郎1, 石田 秀明2

Satoshi WAKASUGI1, Kiyotaka UMEKI1, Shousuke HOSAKA1, Shinnichirou SATOU1, Hideaki ISHIDA2

1千葉西総合病院消化器内科, 2秋田赤十字病院消化器内科

1Department of Gastroenterology, Chibanishi General Hospital, 2Department of Gastroenterology, Akita Red Cross Hospital

キーワード :

【目的】
肝静脈の描出における残留エコーの影響について検討した.その上で,びまん性肝疾患の診断を行う上での至適画像深度について考察した.
【対象】
2015年10月から2015年11月の期間に当科で検査を行った超音波検査で,右肋間走査で右肝静脈が描出された症例のうち無作為に選ばれた30例である.
【方法】
肝静脈が不明瞭だったが,画像深度を変えると肝静脈が描出された右肝静脈の輪郭を,種々の深度で観察した.深度が大きい場合に出現しないが,深度が小さい場合に出現する残留エコーが肝静脈の輪郭の描出に影響する頻度を検討した.症例は動画で保存した.再生動画から残留エコーの有無,高深度画像で残留エコー源となりうる心弁膜の存在の有無,脂肪肝の有無,血球エコーの影響の有無を検討した.さらに,びまん性肝疾患の診断において至適深度は何cmであるのかを検討した.
【結果】
症例は49歳から86歳,男性13,女性17であった.24例において右肝静脈の輪郭が不明瞭な部分を認めた.これらのうち,21例で画像深度を大きくすると,輪郭が明瞭になった.そのうち19例で残留エコーが原因で右肝静脈が不明瞭になっていた.その残留エコーの原因は19例全例で心弁膜であった.残留エコーが影響している19例で,肝静脈が不明瞭な深度は9cmから13cmであった.肝静脈が明瞭になる深度は12cmから18cmであった.明瞭になった21例中,残留エコーが影響していない症例は2例だったが,これらに影響しているのは赤血球の反射エコーと思われた.
【考察】
丁子らは,慢性肝障害の重症度を診断する上で,肝縁の鈍化,肝静脈の不整,肝実質の粗造化,脾腫の4点に着目してスコアー化すると,正常,慢性肝炎,肝硬変の鑑別が可能と報告している.我々も,この報告をC型慢性肝疾患において追試し,同様の結果を得たため報告した.肝静脈の評価は,びまん性肝疾患の評価をする上で重要と考える.肝静脈は門脈のようにグリソン氏鞘がないため,周囲の組織の影響を受けやすい.一方,肝静脈は肋弓下走査では安定した画像が得られない.肋間走査で右肝静脈を描出すると,最も安定した画像が得られると思われる.しかし,右肋間走査で右肝静脈を描出すると,その深部に心弁膜が存在し,それが原因での残留エコーが右肝静脈の評価に影響することが判明した.今回我々は,右肝静脈に影響する残留エコーの頻度を検討し,どの深度であれば残留エコーが影響するかを検討したが,30例中,19例(63%)で残留エコーが影響していた.さらにその場合の画像深度は9cmから13cm,平均11cmであった.これら19例で残留エコーの影響が消失する深度は12cmから18cm,平均15cmであった.以上より,びまん性肝疾患の診断を行う上で,至適画像深度は15cmであり,それより小さい深度で観察すると,残留エコーの影響で肝静脈の描出や評価を誤る可能性があると思われた.
【結語】
残留エコーを考慮すると,びまん性肝疾患の超音波診断を行う上での至適画像深度は15cmである.