Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 診断:一般①

(S626)

肝脈管のカラードプラ・ミラーイメージ-数理的モデル解析-

Color Doppler Mirrror image of hepatic vessel: computer analysis

宇野 篤1, 石田 秀明2

Atsushi UNO1, Hideaki ISHIDA2

1市立大森病院内科, 2秋田赤十字病院超音波センター

1Department of Internal Medicine, Omori Municipal Hospital, 2Center of Diagnostic Ultarasound, Akita Red Cross Hospital

キーワード :

【はじめに】
肝をBモード断層像で観察する際に,肝内部の構造物が横隔膜の対側に虚像として描出される現象は,超音波アーチファクトとして広く認知されているものと思われる.この現象はBモード断層像以外にカラードプラ法でも出現するが,虚像におけるカラー血流画像は,経験上肝内脈管の断層像に重畳され表示されたものとは異なる色合いをもつ印象がある.今回は本現象を超音波ビームの反射に起因するアーチファクトの一種ととらえ,computer simulationを用いて解析検討したので報告する.
【基礎的検討(方法)】
(1)肝を横隔膜を含み右上腹部肋間斜走査ないし肋弓下走査にて観察するものと仮定した.便宜上超音波ビームは1点から扇状に放射されるものとした.
(2)観察対象として横隔膜近傍に位置する脈管を想定した.
(3)横隔膜モデルの形状はなだらかな曲線,脈管モデルは平行な2つの線分とし,それぞれのモデルの位置や傾きを変化させ配置した.なお脈管内の血流方向は画面上,下向き(プローブから遠ざかる方向:カラー血流画像としては青色系)であると想定した.
(4)超音波伝搬経路としてa)ビームが直接脈管に到達するルート,b)ビームが横隔膜に反射して脈管に到達するルートを想定した.超音波伝搬経路をもとにBモード断層像における実像と虚像とを表示,a),b)各々のビームが脈管となす相対的な角度をもとにカラー血流画像を計算・構築,実像および虚像に重ねて表示し像を解釈・検討した.
【基礎的検討(結果)】
(1)Bモード断層上,脈管モデルは横隔膜の対側に虚像として描出された.虚像の形状は横隔膜モデルの曲率半径が小さい場合(より丸みを帯びるにしたがい),実像と比較するとやや歪んで描出された.
(2)虚像におけるカラー血流画像は実像とは異なる色調として描出される傾向にあった.条件にもよるが,実像では全体として青色系だが虚像では赤色系として描出される場合や,青色系だが明度が実像とは異なる場合がみられた.
【まとめ・考察】
今回検討したミラーイメージは,反射・屈折などBモード断層像と同様の原理で出現する,カラードプラ法におけるアーチファクトのひとつである.ビームが直接脈管のある位置に入射する角度と,横隔膜で反射したビームが同位置に入射する角度とは異なるために取得される血流情報に差が生じ,実像と虚像のカラー血流画像が異なることを理解することが像の正しい解釈につながるものと思われた.