Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 その他:症例

(S624)

造影超音波検査を施行した十二指腸乳頭部神経内分泌癌の1例

A case of neuroendocrine carcinoma of the ampulla of Vater with contrast-enhanced ultrasonography

橋ノ口 信一1, 乙部 克彦1, 石川 照芳1, 今吉 由美1, 安田 慈1, 熊田 卓2, 豊田 秀徳2, 多田 俊史2, 金森 明2, 水野 和幸2

Shinichi HASHINOKUCHI1, Katsuhiko OTOBE1, Teruyoshi ISHIKAWA1, Yumi IMAYOSHI1, Shigeru YASUDA1, Takashi KUMADA2, Hidenori TOYODA2, Toshifumi TADA2, Akira KANAMORI2, Kazuyuki MIZUNO2

1大垣市民病院診療検査科形態診断室, 2大垣市民病院消化器内科

1Department of Clinical Reserch, Ogaki Municipal Hospital, 2Department of Gastroenterology, Ogaki Municipal Hospital

キーワード :

【はじめに】
神経内分泌腫瘍(NET)は2010年WHO分類では,神経内分泌細胞由来の腫瘍の総称とされ,さらに悪性度に順じてNET G1,NET G2,neuroendocrine carcinoma(NEC)に分類されている.十二指腸乳頭部原発のNETはまれな疾患であり,報告例が少ない.今回,造影超音波検査(CEUS)を施行した十二指腸乳頭部NECの1例を経験したので報告する.
【症例】
60歳代,女性
【主訴】
皮膚掻痒感,肝障害,黄疸
【既往歴】
直腸潰瘍手術
【現病歴】
皮膚掻痒感を主訴に近医を受診した際に,血液検査で肝機能障害および黄疸を認め,精査目的に当院紹介受診となった.
【血液生化学所見】
AST:540IU/l,ALT:635IU/l,γ-GTP:219IU/l,T-Bil:4.1mg/dl,ALP:761IU/l,CRP:0.29mg/dl,WBC:5770/μlであった.
【超音波検査所見】
B modeで十二指腸乳頭部に境界明瞭,辺縁不整な15mm大の低エコー腫瘤および胆管拡張,主膵管拡張を認めた.腫瘤の内部エコーは均一でカラードプラでは血流シグナルは認めなかった.CEUSでは腫瘤内部へ流入する血管影がみられ全体が均一に強く染影された.染影は約1分持続し5分後に消失した.
【CT検査所見】
胆管拡張,主膵管拡張を認め,十二指腸乳頭部に動脈相,平衡相ともに辺縁が強く濃染される境界明瞭な腫瘤性病変を認めた.リンパ節腫大や周囲組織への浸潤,遠隔転移は認めなかった.
【超音波内視鏡検査所見】
十二指腸乳頭部に低エコー腫瘤を認めた.胆管,膵管は同部位で拡張し,腫瘤は造影EUSで著明な染影効果を認めた.
【内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査所見】
十二指腸主乳頭は腫大し後壁側に潰瘍を認めた.膵管造影では主膵管の拡張,胆管造影では著明な胆管拡張を主乳頭近傍まで認め,下部胆管にわずかに透亮像を認めた.
各種画像検査より十二指腸乳頭部癌を第一に疑い,鑑別に十二指腸乳頭部NET,膵NET,膵腺房細胞癌などが挙げられた.胆管生検を施行し,高〜低分化腺癌と診断された.十二指腸乳頭部癌の術前診断で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術が施行された.
【病理組織所見】
Vater乳頭部に2×1.8cm大の灰白色充実性腫瘤を認めた.HE染色にて核小体の目立つN/C比の高い細胞から構成され,索状の配列がみられた.免疫染色にてsynaptophysin,CD56が陽性を示し,chromogranin Aは一部陽性細胞を認めた.Ki-67指数は90%以上,腺癌成分は5-10%であり,神経内分泌癌(large NEC)と診断された.
【考察】
十二指腸乳頭部に発生するNECはまれである.過去の報告によると腫瘍径に限らず高率にリンパ節転移を認め,術後再発は大部分が肝転移であり予後不良とされている.CEUSはNETに典型的な多血の血流評価に有用であった.本症例のように画像上リンパ節転移や遠隔転移を伴わない症例ではNECの診断は困難と思われるが,CEUSは病変の血流動態をリアルタイムに評価可能であり有用な情報が得られた.
【結語】
CEUSを施行した十二指腸乳頭部NECの1例を経験したので報告した.CEUSは腫瘍の血流評価に優れた検査法であり診断の一助になると思われた.