Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 肝線維化②

(S615)

Direct Strain Elastographyを用いた肝線維化評価と慢性肝疾患の予後との関連について

Evaluation of liver stiffness using direct strain elastography and its significance for the prognosis of chronic liver diseases

田尻 和人, 河合 健吾, 杉山 敏郎

Kazuto TAJIRI, Kengo KAWAI, Toshiro SUGIYAMA

富山大学附属病院第三内科

The Third Department of Internal Medicine, Toyama University Hospital

キーワード :

【はじめに】
Direct Strain Elastography(DSE)は乳腺や甲状腺などの体表臓器の硬度診断において有用な検査法である.GE社のDSE(E-map法)は,通常のBモード観察時に簡便に施行でき,硬度をElasticity Index(EI)値で表示可能であるが,びまん性肝疾患の評価は行われていない.今回慢性肝疾患のスクリーニング時にDSEを施行し,EIと肝線維化の程度,他の線維化マーカーとの関連につき検討した.さらに肝疾患の成因別にその有用性を検討し,慢性肝疾患の予後への影響について検討した.
【対象と方法】
2013年10月から2015年6月までに当科で肝エコーを行った患者602名.使用装置:GEヘルスケア社製LOGIQ E9,使用探触子:9L(9MHzリニア型),プローブは軽く皮膚に当てる程度で右肋間より肝右葉を走査し,Bモードでアーチファクトがない肝表より2cm程度の描出ポイントを設定し,軽いプローブ圧迫でElasto像を取得した.脈管などを避けてROIを設定しEIを記録した.EIと血小板数,血清ALT値,ヒアルロン酸(HyA),タイプⅣコラーゲン7S(7S),BCAA-Tyrosine Ratio(BTR),さらにaspartate aminotransferase to platelet ratio index(APRI),FIB4-indexの線維化予測式,肝生検組織でのActivity(A)およびFibrosis(F)との関連につき検討した.また予後(死亡,肝硬変非代償化,肝癌再発)とEIの関連につきCox回帰法にて検討した.
【結果】
肝組織が得られた167例においてEIの平均値はF0-2の線維化軽度群で2.53,F3-4の線維化高度群で3.70と2群間に有意な差を認めた.成因別ではHCVで線維化軽度群で2.56,F3-4の線維化高度群で4.05,アルコール・NAFLD群ではそれぞれ2.58,4.08と2群間で有意な差がみられたが,HBVでは2群間に有意な差がみられなかった.線維化マーカーとの関連については,EIはHyA, 7S, APRI, FIB4-indexと正の相関,血小板,BTRと負の相関を認めたが,ALTとは相関を認めず,肝組織のA因子とも相関を認めなかった.一方,HyA, 7S, APRI,FIB4-indexはALTとの相関が認められた.観察期間中に肝関連死を44例,非代償性変化(脳症,腹水貯留)を24例,肝癌再発を59例に認め,肝関連死に7s,EI(ハザード比:1.09,1.60)が,非代償性変化には7s(ハザード比:1.12)が,肝癌再発は年齢(ハザード比:1.06)が関連していた.
【考察および結語】
DSEによるEIは肝線維化を反映する.HyA,7S,APRI,FIB4-indexといった線維化マーカー,予測式は肝炎により影響を受けるが,EIは炎症の影響が少ない.EI高値は肝関連死の予測因子となりうる可能性が示された.