Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
消化器 肝線維化②

(S614)

慢性肝疾患の非侵襲的線維化評価におけるSWEの有用性-M2BPGiを含む複合指標との検証-

Usefulness of 2D-SWE in Noninvasive assessment of liver fibrosis in patients with CLD -Comparative verification using M2BPGi and composite index-

阿部 珠美1, 黒田 英克1, 藤原 裕大1, 三上 有里子2, 武田 智弓2, 神山 直久3, 滝川 康裕1

Tamami ABE1, Hidekatsu KURODA1, Yudai FUJIWARA1, Yuriko MIKAMI2, Chiyumi TAKEDA2, Naohisa KAMIYAMA3, Yasuhiro TAKIKAWA1

1岩手医科大学内科学講座消化器内科肝臓分野, 2岩手医科大学中央臨床検査部, 3GEヘルスケアジャパン株式会社超音波製品開発部

1Division of Hepatology, Department of Internal Medicine, Iwate Medical University, 2Central Department of Clinical Examination, Iwate Medical University, 3Product Development Department of Ultrasound, GE Healthcare Japan

キーワード :

【背景】
GE Healthcare社より製品化されたshear wave elastography(SWE)は,櫛状複数プッシュパルスや方向分離フィルタリング技術の適用によりshear wave伝播速度(SWV)の定量化と二次元マッピング化を実現し,これまで我々は,SWEを用いた肝組織硬度測定が統計学的に高い再現性と信頼性を示し,肝繊維化診断における高い有用性を報告してきた(JSUM 2015).一方,近年では新規血清糖鎖マーカーであるMac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体(M2BPGi)と肝線維化の関連が注目されている.今回我々は,びまん性肝疾患の肝線維化診断におけるSWEの有用性についてM2BPGiと比較し,両者を組み合わせて肝線維化評価する意義について検討した.
【対象と方法】
2015年1月から12月に本研究に同意を得た慢性肝疾患172例(C型慢性肝疾患124例,NAFLD48例.男性94例,女性78例.平均年齢62.9歳)を対象とした.機種はLOGIQ E9(GE Healthcare),探触子はC1-6-Dプローブを使用.肝生検検査の同日に肝S5のSWVを5回計測し平均値を最終測定値とした.SWVならびに同日測定したM2BPGiと患者背景,肝機能,肝線維化stage,肝線維化診断能を比較検討した.また,高度線維化(F≥3)を従属変数,性別,年齢,BMI,肝機能,SWVやM2BPGiら計15因子を独立変数としてロジスティック回帰分析による多変量解析を行い,抽出された因子から線維化判別式を算出し,線維化予測能を評価した.
【結果】
(1)線維化stage別のSWVは,F0(37):1.42±0.19 m/s,F1(68):1.53±0.24 m/s,F2(16):1.68±0.26 m/s,F3(17):1.97±0.24 m/s, F4(34):2.19±0.24 m/sで線維化進展とともに上昇を認め(p<0.0001),M2BPGiは,F0:0.87±0.45,F1:1.19±0.88,F2:2.36±2.04,F3:3.07±2.74,F4:8.41±5.56とF因子の増加に伴い高値を示した(p<0.0001).両指標間に有意な正の相関関係を認めた(r=0.674,p<0.0001).(2)両指標とも年齢,血小板値,AST,アルブミン,ヒアルロン酸,Ⅳ型コラーゲ7S,FIB4-indexならびにAPRIと有意な相関関係を認めた(p<0.01).(3)SWVのAUROCはF≥1/F≥2/F≥3/F4で0.758/0.902/0.953/0.934,M2BPGiはF≥1/F≥2/F≥3/F4で0.738/0.904/0.934/0.963で,両者の肝線維化診断能に統計学的有意差は認めなかった.高度線維化(F≥3)を判別する最適なCut off値は,SWVが1.81(感度92.9%,特異度87.8%)とM2BPGiが2.02(感度89.3%,特異度90.0%)であった.ロジスティック回帰分析の結果,高度線維化(F≥3)を推定する独立した因子はSWVとM2BPGiであり,両者の組み合わせたAUROCは0.977であった.
【結語】
SWVはM2BPGiと相関関係を示し,両者は単独でも肝線維化の識別に有用な指標である.SWEで測定した肝硬度に糖鎖マーカー値を加味し考察することにより,さらに高精度な線維化診断が可能となり,不要な肝生検の回避に役立つ可能性が示唆された.