Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
循環器 その他

(S607)

心不全患者における低心拍出量と静脈圧上昇の肝・腎障害との関係

Relationships of low cardiac output and venous hypertension to the hepatic and renal dysfunctions in patients with heart failure

米田 球士1, 三神 大世2, 加賀 早苗2, 岡田 一範2, 政氏 伸夫2, 横山 しのぶ3, 西田 睦3, 岩野 弘幸4, 山田 聡4, 筒井 裕之4

Mario YONETA1, Taisei MIKAMI2, Sanae KAGA2, Kazunori OKADA2, Nobuo MASAUZI2, Shinobu YOKOYAMA3, Mutsumi NISHIDA3, Hiroyuki IWANO4, Satoshi YAMADA4, Hiroyuki TSUTSUI4

1北海道大学大学院保健科学院, 2北海道大学大学院保健科学研究院, 3北海道大学病院検査・輸血部, 4北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学

1Graduate School of Health Sciences, Hokkaido University, 2Faculty of Health Sciences, Hokkaido University, 3Division of Laboratory and Transfusion Medicine, Hokkaido University Hospital, 4Department of Cardiovascular, Hokkaido University Graduate School of Medicine

キーワード :

【目的】
心不全に肝障害や腎障害が続発することはよく知られている.肝障害の主因は,静脈圧上昇による肝うっ血と考えられているが,低心拍出量の影響も指摘されている.また,腎障害は低心拍出量が主因と考えられてきたが,最近,腎うっ血の関与も注目されている.そこで,心不全患者の心拍出量と静脈圧上昇の肝・腎障害との関係を検討する.
【方法】
対象は,北大病院循環器内科に入院し,専門医が心不全と診断した69例である.補助人工心臓例,大動脈バルーンパンピング例,左室流出路狭窄例および原発性の肝・腎疾患を有する例は除外した.心エコーで,左室流出路の断面積と血流時間速度積分値から心係数(CI)を求め,CI<2.2 L/min/m2を低心拍出量と定義した.また,下大静脈径(IVCD)とその呼吸性変動率(IVCRV)を計測し,IVCD>19 mmまたはIVCRV<20%を静脈圧上昇と定義した.これらから,対象を,低心拍出量と静脈圧上昇があったI群(16例),低心拍出量のみのII群(17例),静脈圧上昇のみのIII群(12例),および,いずれもなかったIV群(24例)に分けた.心エコー前後1日以内の血液生化学検査結果中,肝機能指標として総ビリルビン(T-Bil),γ-GTとコリンエステラーゼ(Ch-E)を,腎機能指標として尿素窒素(BUN),クレアチニン(Cr)と推定糸球体濾過量(eGFR)を用いた.
【結果】
CIは,T-Bilと弱く相関したが(r=−0.25,p<0.05),他の指標とは有意に相関しなかった.IVCDは,T-Bil(r=0.57,p<0.001),γ-GT(r=0.45,p<0.001),Ch-E(r=−0.58,p<0.001),BUN(r=0.28,p<0.05)およびCr(r=0.41,p<0.01)と有意に相関した.IVCRVも,T-Bil(r=−0.47,p<0.001),γ-GT(r=−0.30,p<0.05),Ch-E(r=0.43,p<0.01)およびCr(r=−0.24,p<0.05)と相関した.I群では,II群とIV群より,T-Bil(順にp<0.01,p<0.001)とγ-GT(順にp<0.05,p<0.01)が有意に大,Ch-E(順にp<0.01,p<0.001)が有意に小であった.Ch-Eは,III群でも,II群とIV群より有意に小であった(順にp<0.05,p<0.01).Crは,I群でIV群より有意に大であった(p<0.05).II群の各指標の平均値は,IV群のそれとほぼ同様であった.
【結論】
心不全患者において,静脈圧の上昇は,肝障害と密接に関係するだけでなく,腎障害にも影響すると考えられた.これに比べ,低心拍出量の肝・腎機能への関与は少ないと考えられた.