Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
循環器 治療評価

(S603)

当院における感染性心内膜炎症例の検討

A Clinical Investigation of Infective Endocarditis at TAKAMATSU Red Cross Hospital

山田 桂嗣, 末澤 知聡, 鵜川 聡子, 宮崎 晋一郎

Keiji YAMADA, Tisato SUEZAWA, Satoko UGAWA, Shinichirou MIYAZAKI

高松赤十字病院循環器科

Cardiovascular Department, TAKAMATSU Red Cross Hospital

キーワード :

【目的】
感染性心内膜炎は臨床像として①弁破壊による弁膜症や心不全②内膜の感染による発熱,菌血症,感染性梗塞③免疫反応による脾腫,腎炎,Osler結節やRoth班などを認める.様々な臓器に異常を認め,臨床像は多彩であり,早期診断が困難である症例も多く,診断後も早期に外科手術を行うか感染の改善後に待機的に行うかを苦慮する症例は多い.今回当院における感染性心内膜炎症例について検討した.
【対象】
対象は2008年4月から2015年12月までの,当院外来を受診もしくは紹介された患者のうち,Duke基準を用いて感染性心内膜炎と診断された症例および術中に強く感染性心内膜炎を疑う所見を認めた32症例(男性18名,平均63+/-14歳)を対象とした.
【方法・結果】
誘因となる処置を契機に発症する典型例は少なく,不明熱や肺炎などによる敗血症から感染性心内膜炎を発症するケースが多かった.全症例において心エコー検査を行い,疣贅の有無,サイズ,付着部位,性状,弁膜症の程度などを評価した.原因菌ではStreptococcus属が9例と最も多かった.診断時に心不全発症していた症例は15例,Healed IEは13例,透析症例は10例であった.手術が施行されたのは28例であった.術前には疑われず,弁膜症の手術症例で術中に感染性心内膜炎を強く疑う所見を認めた症例は4例であった.症候性の脳梗塞は4例であった.症候性の脳梗塞を発症した症例では疣贅は4例とも僧帽弁前尖に認め,全例疣贅の大きさは15mm以上であった.可動性が乏しい疣贅は2例であった.心不全を合併した15例は全例緊急手術が行われ治療経過も良好であった.32症例中6ヶ月以内の死亡は4例であった.4例とも緊急手術を検討されたが,諸事情により,手術日が延期された症例であった.
【考察・結論】
当院の症例からは,血行動態が不安定な症例ではより早期の手術が必要であり,疣贅の可動性にかかわらず15mm以上である場合や僧帽弁前尖にみられる場合は塞栓症のリスクがより高いと予測された.これらの結果に加え,文献的考察を加え報告する.