Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
循環器 ストレイン

(S593)

冠動脈疾患評価における心筋ストレイン値の有用性−冠血流予備量比との比較−

Usefulness of cardiac strain imaging in assessment of coronary heart disease:a comparison with fractional flow reserve

大竹 由香1, 浜田 敏彦1, 橋本 儀一1, 津田 裕美子1, 前田 文江1, 木村 秀樹1, 池田 裕之2, 福岡 良友2, 宇隨 弘泰2, 夛田 浩2

Yuka OTAKE1, Toshihiko HAMADA1, Norikazu HASHIMOTO1, Yumiko TSUDA1, Fumie MAEDA1, Hideki KIMURA1, Hiroyuki IKEDA2, Yoshitomo FUKUOKA2, Hiroyasu UZUI2, Hiroshi TADA2

1福井大学医学部附属病院検査部, 2福井大学医学部循環器内科

1Department of Clinical Laboratory Science, University of Fukui Hospital, 2Department of Cardiovascular Medicine, University of Fukui Hospital

キーワード :

【背景・目的】
近年,心エコー検査にて2Dスペックルトラッキング法を用いたストレイン解析はさまざまな臨床に応用されており,特に心筋の定量的な壁運動評価は虚血性心疾患の診断に有用な方法として知られている.一方,心筋梗塞における冠動脈狭窄病変には,一般に冠動脈造影(CAG)や血管内エコー(IVUS)による形態学的評価法と,CAGと同時施行可能な冠血流予備量比(FFR)を指標として機能的虚血を評価する方法が用いられている.今回我々は,心筋虚血の定量的評価としてストレイン値とFFR値と比較し,その関係について比較検討した.
【方法】
対象は2013年9月から2015年10月までの間に冠動脈病変が疑われた53症例(男性42例,女性11例,平均年齢68.8±9.2歳).全症例で同時期にCAGと心エコー検査を施行した.FFRはCAG時に測定,心エコー検査は心尖部長軸像,四腔像,二腔像を記録し,2Dスペックルトラッキング法を用いてlongitudinal方向のストレイン解析を行った.FFR値とFFRを測定した冠動脈支配領域のストレイン値との関係を検討した.さらにFFRが0.75未満の症例においては,そのFFR計測冠動脈支配領域以外のストレイン値と,心筋虚血のない対照群11例(男性8例,女性3例,平均年齢62.4±10.6歳)のストレイン値とを比較検討した.
【結果】
全53例中FFRが0.75以上の症例は37例,0.75未満の症例は16例であった.FFRを測定した冠動脈と同部位ストレイン値の検討では有意な負の相関関係(r=-0.32,p<0.005)を認めた.FFRが0.75未満症例の非FFR計測領域のストレイン値は-17.6±4.5,対照群のストレイン値は-20.9±2.0であり,FFRが0.75未満症例の非FFR計測領域のストレイン値は有意に低下していた(p<0.05).
【考察】
FFRとストレイン値は有意な負の相関を認めており,ストレイン計測により心筋虚血を評価できることが示唆された.また心筋虚血を認める症例においては,非虚血領域のストレイン値も低下しており,心機能障害が潜在することが推測された.