Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
循環器 ストレイン

(S593)

心筋虚血メモリー診断における収縮早期ストレイン指標の有用性の検討

Diagnostic ability of a novel early systolic strain index for detecting myocardial ischemic memory

足立 瞳, 浅沼 俊彦, 増田 佳純, 櫻井 大輔, 岩上 枝里香, 上向井 敏希, 中谷 敏

Hitomi ADACHI, Toshihiko ASANUMA, Kasumi MASUDA, Daisuke SAKURAI, Erika IWAGAMI, Toshiki KAMIMUKAI, Satoshi NAKATANI

大阪大学大学院医学系研究科機能診断科学講座

Division of Functional Diagnostics, Osaka University Graduate School of Medicine

キーワード :

【背景】
近年,組織ドプラ法やスペックルトラッキング法が開発されたことにより,心筋虚血時に見られるpost-systolic shortening(PSS)や収縮早期伸展運動(early-systolic lengthening:ESL)などの微細な心筋運動の定量的な評価が可能となった.なかでも,PSSは虚血が消失した後にも残存することから,虚血の既往,すなわち虚血メモリーの診断に有用である.しかし,PSSは正常心筋にも見られるため,これのみでの正確な診断は時として困難であることも指摘されている.我々の先行研究において,ストレイン値が収縮開始から一心周期最大ストレイン値の30%の値をとるまでに要した時間T30%が,PSSとほぼ同等の虚血診断能を持つことが明らかとなった.しかしT30%が虚血再灌流後においても残存するか検討した報告は無い.
【目的】
スペックルトラッキング法を用いて新しい指標T30%が虚血メモリー診断に有用な指標になりうるか検討する.
【方法】
麻酔開胸犬9頭を対象とし,左冠動脈前下行枝を2分間閉塞後再灌流した.東芝製Aplioを用い閉塞前,2分間完全閉塞時,再灌流10分,20分,30分,60分後の左室短軸像を取得した.スペックルトラッキング法にて虚血領域である左室前壁の円周方向ストレインを解析した.指標として,収縮期最大ストレイン値εs,大動脈弁閉鎖時のストレイン値εesを計測した.また,PSSの指標としてpost-systolic index(PSI),ESLの指標としてESL index,収縮早期ストレイン指標としてT30%を算出した.それぞれの指標に対して,再灌流10分後,20分後における虚血メモリーの診断精度についてROC解析を行い,曲線下面積(AUC)を評価した.
【結果】
εs,εes,ESL indexは閉塞時に有意に変化したが,再灌流10分後までに閉塞前の値に回復した.PSI,T30%は閉塞時に有意に上昇し,再灌流10分後も有意に上昇していた(閉塞前vs.再灌流10分後:PSI;0.01±0.03 vs. 0.14±0.10,p<0.05,T30%;0.22±0.07 vs. 0.33±0.08,p<0.05).AUCは,再灌流10分,20分後ともにPSIとT30%で有意に高く,ほぼ同等の値を示した(再灌流10分後:PSI;0.907,T30%;0.877,p<0.05 vs. AUC=0.5,再灌流20分後:PSI;0.833,T30%;0.833,p<0.05 vs. AUC=0.5).
【結語】
T30%はPSSと同様に虚血再灌流後に残存し,虚血メモリーの指標となりうる可能性が示唆された.T30%とPSSを組み合わせて用いる事で虚血メモリー診断精度の向上が期待される.