英文誌(2004-)
一般口演
循環器 ストレイン
(S592)
左室global longitudinal strainは肺静脈隔離術後の発作性心房細動の再発を予測するか
Left ventricular global longitudinal strain is able to be a predictor for recurrence of paroxysmal atrial fibrillation after pulmonary vein isolation
橋本 直土
Naoto HASHIMOTO
山形大学医学部第一内科
Department of Cardiology, Pulmonology, and Nephrology, Yamagata University School of Medicine
キーワード :
【背景】
発作性心房細動(PAF)に対する肺静脈隔離術(PVI)の有用性は確立されたが,再発をきたす症例は少なからず存在する.PAF再発と左房拡大および左房機能低下に関しては詳細に検討されているが,左室収縮機能障害との関係は十分には検討されていない.近年,2Dスペックルトラッキング法を用いたglobal longitudinal strain(GLS)は,心筋収縮能の鋭敏なマーカーであり,生存能や予後予測に有用であるとの報告がなされている.
【目的】
PAFに対しPVI施行後の再発と左室収縮機能障害の関係を検討する.
【方法】
当院において初回PVIを施行されたPAF患者146例(男性111例,女性35例,平均年齢58.5±9.3歳)を対象とした.GE社製Vivid E9を用いて,左室収縮機能障害の指標として,global longitudinal strain(GLS)を測定した.またmodified Simpson法を用いて,左房容積係数(LAVI)を測定した.陳旧性心筋梗塞,重症弁膜症,心筋症を有する症例は除外とした.
【結果】
PVI施行3か月後で,28例(19.2%)で再発を認めた.全症例における平均左室GLSは-17.3±3.6%であった.再発群と非再発群の2群間比較では,年齢,心拍数,高血圧,糖尿病,eGFRに有意差を認めなかった.左房容積係数および,simpson EFも有意差を認めず,CHADS2スコアにも同様であった.再発群では,男性の割合,脂質異常症の割合を多く認めた.再発群において左室GLSは有意な低下を認めていた.(-15.9±2.9%vs. -17.6±3.7%,p = 0.0277)さらに多変量解析の結果でも,左室GLSは独立した予測因子であることが示された(p = 0.0495)
【結論】
左室GLSはPVI後のPAFの再発予測因子となりうる.PVI前にスクリーニングとして左室GLSを測定することは有用であると考えられた.