Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
循環器 症例報告②

(S586)

大動脈弁二尖弁にパラシュート僧帽弁を合併した一例

One cases of the merger of the parachute mitral valve to aortic valve bicuspid valve

牧野 健治1, 鈴木 真事1, 橋本 剛1, 大塚 健紀1, 山下 裕正2, 飯島 雷輔1, 原 英彦1, 尾崎 重之2, 諸井 雅男1, 中村 正人1

Kenji MAKINO1, Makoto SUZUKI1, Gou HASHIMOTO1, Takenori OOTSUKA1, Hiromasa YAMASHITA2, Raisuke IIJIMA1, Hidehiko HARA1, Shigeyuki OZAKI2, Masao MOROI1, Masato NAKAMURA1

1東邦大学医療センター大橋病院循環器内科, 2東邦大学医療センター大橋病院心臓血管外科

1Division of Cardiovascular Medicine, Toho University Ohashi Medical Center, 2Division of Cardiovascular Surgery, Toho University Ohashi Medical Center

キーワード :

【背景】
大動脈二尖弁には大動脈弁狭窄症(AS),逆流症(AR),感染性心内膜炎,大動脈瘤,大動脈解離,大動脈縮窄症,心室中隔欠損症などが合併する.また大動脈二尖弁は先天性心疾患の中で頻度が約2%程度と高い.一方で,先天性僧帽弁狭窄症の中でもパラシュート僧帽弁は稀な疾患である.今回,大動脈二尖弁にパラシュート僧帽弁を合併した一例を経験したので報告する.
【症例】
20代女性.リウマチ熱の既往はない.AS,僧帽弁狭窄((MS)兼閉鎖不全症(MR)の診断で経過観察されていたが,手術目的で当院紹介受診となった.術前の経胸壁心エコー図検査では大動脈弁右冠尖と左冠尖間の交連部に癒合を認める二尖弁を認めた.連続の式を用いた推定大動脈弁口面積は0.44cm2,Vmax: 5.0m/s,meanPG: 62mmHgであった.
また,僧帽弁は前尖と後尖のすべての腱索が大きな後内側乳頭筋に接合するパラシュート僧帽弁の形態を呈していた.後交連側の弁尖はA2が変性・逸脱しており,同部位が逆流弁口となって中等度のMRを認めた.連続波ドプラを用いたpressure half time法から求めた僧帽弁弁口面積は1.56cm2であった.経食道心エコー図検査による三次元心エコー図では大動脈弁右冠尖と左冠尖間にrapheを認め弁尖の肥厚,開放制限を呈していた(図).僧帽弁輪の前交連側にはringを認め,前尖と後尖の腱索が後内側乳頭筋に偏位して接合する立体的な様子が観察された.以上のことから本症例は,大動脈二尖弁による高度ASにパラシュート僧帽弁が合併しているという診断となった.
若年女性で挙児希望があるということから,重症ASに対しては術後の抗凝固療法の不要である自己心膜を用いた大動脈弁再建術を行った.パラシュート僧帽弁に対する弁形成術は,重度のMRの合併や残存MSのために置換術が必要となることが多く,抗凝固薬内服の回避という観点やMSとMRが現段階では高度でないため経過観察する方針となった.
【考察・結語】
大動脈二尖弁は先天性心疾患をしばしば合併することが知られており,合併症に関しても包括的な評価を行うことが必要である.今回パラシュート僧帽弁に対する介入は行わなかったが,経年的に弁膜症の進展は予想されるため注意して経過観察する必要がある.