Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
循環器 症例報告②

(S585)

Eisenmenger Syndromeに肺移植と心内修復術を施行した一例

One cases who underwent a lung transplant and intracardiac repair to Eisenmenger syndrome

伊藤 記彦1, 青木 竜男2, 船水 康陽1, 藤原 淳子1, 三木 俊1, 西條 芳文3, 建部 俊介2, 杉村 宏一郎2, 岡田 克典4, 下川 宏明2

Norihiko ITO1, Tatsuo AOKI2, Yasuhiro FUNAMIZU1, Junko FUJIWARA1, Takashi MIKI1, Yoshifumi SAIJYOU3, Shynsuke TATEBE2, Kouichirou SUGIMURA2, Katsunori OKADA4, Hiroaki SHIMOKAWA2

1東北大学病院生理検査センター, 2東北大学病院循環器内科, 3東北大学大学院医工学研究科, 4東北大学病院呼吸器外科

1Physiology Laboratory, Tohoku University Hospital, 2Cardiovascular Medicine, Tohoku University Hospital, 3Biomedical Engineering, Tohoku University Graduate School, 4Thoracic Surgery, Tohoku University Hospital

キーワード :

【はじめに】
本邦の肺移植手術実績は,2014年3月の時点で227例が施行され,そのうちEisenmenger Syndrome(ES)は約5%と報告されている.ESの根治には,肺移植が必要となるが,心奇形が残存していた場合,心内修復術あるいは心肺同時移植が必要となる.
今回,我々は心房中隔欠損症(ASD)に合併したES症例に対して肺移植と心内修復術を施行した症例を経験したので,肺移植術前後の経時的な心機能変化も含め報告する.
【症例】
40歳代女性,14歳,ASDと診断されたが,手術適応に至らずそのまま放置した.20歳,著明な呼吸困難感を自覚して近医を受診し,心臓カテーテル検査でASD,肺高血圧症,ESと診断された.31歳,在宅酸素療法が導入された.35歳,当院紹介となり,肺移植登録と加療目的で当院を受診し,45歳時に脳死両側肺移植とASD閉鎖および三尖弁輪形成術が施行された.
肺移植前と術後で左右心機能を心エコー図検査にて比較すると,左室内径は29mmから45mmへと改善,左室駆出率は76%から62%と軽度低下していた.E/AやE/e’などの左室拡張機能の指標は,術後改善傾向が認められた.右室内径は68mmから24mmと著明な縮小を認めたが,右室壁厚は5mmから9mmと増大していた.また,推定右室収縮期圧は77mmHgから25mmHgへと減少していた.右室面積変化率(RVFAC)は15%から52%へと改善を認めた一方,TAPSEは20から14mmに低下していた.
【考察】
本症例は,ESによって20数年間に及ぶ高度の右室圧負荷が肺移植によって解除され,著明に拡大していた右室は縮小し,肺高血圧症も消失した.一方,右室の壁厚は5mmから9mmに増大し,一見,右室肥大が悪化したかの様な所見を呈した.肺移植後の原発性肺高血圧症例の右心機能を調査した研究(J Am Coll Cardiol 1993;22:1170)では,右室径は有意に改善したものの,右室の壁厚の改善は認められなかった.これらの結果は,肺高血圧症の解除により右室肥大の退縮が生じる一方で,右室壁の進展が軽減され,壁厚が増大するため生じたものと考えられた.本症例でも,右室の壁厚が増大しており,右室肥大退縮の有無については注意深い経過観察が必要と考えられた.また,TAPSEの低下については三尖弁輪形術の影響があるものと考えられた.
【結語】
ESに対して肺移植と心内修復術が移行された症例を経験した.肺移植後のエコー所見の推移を中心に報告する.