英文誌(2004-)
一般口演
循環器 右心機能・運動負荷
(S582)
運動負荷心臓超音波検査における三尖弁逆流血流速度計測の妥当性についての検討
The Validity of the Measurement of Tricuspid Regurgitation Velocity in Exercise Stress Echocardiography
板倉 希帆
Kiho ITAKURA
広島大学病院循環器内科
Department of Cardiology, Hiroshima Univercity Hospital
キーワード :
【背景】
近年,運動負荷心臓超音波検査により,心筋虚血の有無や負荷時の血行動態変化について推察する事が可能となっている.一方で,運動負荷をかけながら各パラメータの正確な計測を行うことが比較的困難な症例も散見される.
【目的】
運動負荷心臓超音波検査において,三尖弁逆流血流速度から,運動時の肺高血圧出現の有無を推測することが妥当かどうかを確認する.
【方法・結果】
当院で運動負荷心臓超音波検査を行った連続85例,このうち三尖弁逆流を有さなかった4例を除く81例で検討を行った.三尖弁逆流の連続波波形において,視覚的に最大血流速度が計測可能であったもの(三尖弁逆流血流速度波形のPeak Velocityのポイントがしっかり描出されていたもの)と,描出不良にて計測困難と思われるものを分類した.
安静時は11例が,最大負荷時には34例が,Peak Velocityの計測が困難と判断された.また,安静時には計測可能であったが負荷時には計測困難となったものは11例であった.この11例においては,安静時及び負荷時ともに計測可能であった53例と比較して,安静時と負荷時の三尖弁最大血流速度の差が小さかった(58.7±22.6 cm/sec vs. 81.8±39.2 cm/sec, p=0.03).
【結語】
運動負荷心臓超音波検査において,一部の症例で,運動時における肺高血圧の出現について,過小評価している可能性がある.