英文誌(2004-)
一般口演
循環器 右心機能・運動負荷
(S580)
負荷試験による拡張中期L波の発現因子の検討
Clinical significance of mid-diastolic L wave in heart failure patients by various loading test
正井 久美子
Kumiko MASAI
兵庫医科大学循環器内科
Cardiovascular Division, Hyogo College of Medicine
キーワード :
【背景】
心エコー図による左室拡張能の評価は,左室流入血流速波形,肺静脈血流速波形のパターンや,組織ドブラ法を用いた僧帽弁弁輪速度から行うのが一般的である.
パルスドブラ法により得られた左室流入血流速波形上,拡張中期に認められる独立した順行性の血流波形『L波』は左室拡張能との関連が報告されているが,心不全患者においての発現メカニズムは明らかになっていない.心不全患者におけるL波の発現因子を各種負荷試験を行い評価した.
【方法と結果】
左室拡張中期に20cm/sec以上の速度で左房から左室に流入する順行性血流をL波と定義した.経胸壁心エコー検査での一般的な測定をおこなったのちに,バルサルバ負荷およびハンドグリップ負荷を用いて評価をした.Baselineで,HFREF患者のうちL波の発現があった群ではRWTが有意に低く,HFPEF患者のうちL波の発現があった群ではRWTが高かった.BaselineでL波のあった患者では,バルサルバ負荷でL波は消失もしくは減高し,一方ハンドグリップ負荷でL波は増高を認めた.このことからL波の発現には左室の前負荷および後負荷が関連していると考えられた.
【結論】
左室のジオメトリーと前負荷,後負荷の増大が拡張中期L波の発現に関与している.