Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
循環器 弁膜症

(S570)

Functional TRに対する小口径MC3リングを用いたTAP症例における術後血行動態の検討

Echocardiographic evaluation after tricuspid annuloplasty with a small-sized MC3 ring for functional TR

尾田 毅1, 牧島 理恵2, 寺田 由美2, 油屋 里恵子2, 田代 英樹3

Takeshi ODA1, Rie MAKISHIMA2, Yumi TERADA2, Rieko ABURAYA2, Hideki TASHIRO3

1市立大村市民病院心臓血管外科, 2市立大村市民病院生理検査室, 3聖マリア病院循環器内科

1Cardiovascular Surgery, Omura Municipal Hospital, 2Physiology Laboratory, Omura Municipal Hospital, 3Cardiology, St. Mary’s Hospital

キーワード :

【背景】
日本胸部外科学会のannual reportによると,我が国における弁膜症手術は年々増加しており,2013年は21,758例であった.三尖弁閉鎖不全症(TR)の多くは左心系心疾患に合併するfunctional TRであるが,2013年に僧帽弁,大動脈弁,またはその両方に対する手術と同時に三尖弁縫縮術(TAP)を施行したのは4,669例であった.昨今functional TR症例に対して積極的にTAPを行うことの有用性が明らかになってきている.TAPを行う際,多くの場合ring annuloplastyを行うが,ringのサイズに関する検討は少ない.
【対象と方法】
2009年10月から2015年12月の間,聖マリア病院および市立大村市民病院で同一術者がMC3リングを用いてTAPを行った30症例を対象とした.26mm群(n=18)と28mm以上群(n=12)において術前の患者背景(TR grade,年齢,体表面積,心房細動合併,再手術,左心系手術の内容)に差は見られなかった.心エコーで退院時,経過観察時のTR grade(0 = none or trivial, 1 = mild, 2 = moderate, 3 = moderate to severe, 4 = severe),TRの最大圧較差,三尖弁位の流入最大圧較差を2群間で比較検討した.
【結果】
TRは退院時は26mm群,28mm以上群でそれぞれ0.3±0.6 vs 1.0±1.0,p=0.0232,経過観察時は0.4±0.6,1.3±0.9,p=0.0038といずれも26mm群で有意に制御されていた.TR最大圧較差は退院時12.1±11.0mmHg, 20.5±8.9mmHg, p=0.0359,経過観察時13.6±12.6mmHg vs 24.8±10.6mmHg, p=0.0197といずれの時点でも26mm群で有意に低値であった.三尖弁位の流入最大圧較差は退院時4.5±2.6mmHg vs 5.1±2.0mmHg, p=0.5047,経過観察時4.5±1.5mmHg vs 4.4±1.1mmHg, p=0.8472といずれも2群間に有意差を認めなかった.
【考察,結語】
26mm MC3 ringはfunctional TRの制御に有用で,かつ三尖弁狭窄もきたさなかった.functional TRに対しては今後も積極的に26mm MC3 ringを用いたTAPを行っていく方針である.