英文誌(2004-)
一般口演
循環器 心房細動・ペーシング
(S567)
心房細動が三尖弁輪収縮期移動距離に及ぼす影響
Impact of Atrial Fibrillation on Tricuspid Annular Plane Systolic Excursion
鳥居 裕太1, 楠瀬 賢也2, 山田 博胤1, 2, 西尾 進1, 平田 有紀奈1, 天野 里江1, 山尾 雅美1, 林 修司1, 佐田 政隆2
Yuta TORII1, Kenya KUSUNOSE2, Hirotsugu YAMADA1, 2, Susumu NISHIO1, Yukina HIRATA1, Rie AMANO1, Masami YAMAO1, Shuji HAYASHI1, Masataka SATA2
1徳島大学病院超音波センター, 2徳島大学病院循環器内科
1Ultrasound Examination Center, Tokushima University Hospital, 2Department of Cardiovascular Medicine, Tokushima University Hospital
キーワード :
【背景】
各種心疾患における予後予測や病態把握において右室機能が注目され,心エコー検査を用いて非侵襲的に得られる三尖弁輪収縮期移動距離(TAPSE)は,右室収縮能の簡便な指標として普及しつつある.一方,慢性心不全患者においては,洞調律例と比較して心房細動例のTAPSEが低下することが知られている.そこで我々は,心房細動がTAPSEに及ぼす影響について検討した.
【方法】
2013年1月から2014年9月までの間に当施設で心エコー検査を行った,左室駆出率が保持され(LVEF≧50%)器質的心疾患を有さない心房細動例239例(74±9歳,65%男性)と年齢・性別・左室駆出率を整合させた対照例281例(74±8歳,67%男性)を対象に,TAPSEを含む各種心エコー図指標を,年齢層別に比較した.
【結果】
心房細動群のTAPSEはすべての年齢群において対照群より低値であった(17±3 vs. 20±3 mm,p<0.001).ステップワイズ重回帰分析を用い,年齢・性別・心拍数・左室駆出率・三尖弁逆流重症度で調整したところ,心房細動の存在がTAPSEの低下(standardizedβ= -0.362,p<0.001)および1回心拍出係数の低下(standardizedβ= 0.173,p<0.001)と有意に関連した.
【結語】
洞調律例に比べて,心房細動例のTAPSEは各種背景を補正後も低値であった.各種心疾患においてTAPSEを評価する際には,心房細動の有無を加味する必要がある.