Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
工学基礎 超音波治療

(S559)

集束超音波照射による生体ファントム内の温度上昇時における血流速の影響

Influence of blood flow speed on temperature rise in soft tissue by focused ultrasound

毛利 裕則1, 波田野 雄一1, 沈 楽辰1, 土屋 健伸2, 遠藤 信行2

Hironori MORI1, Yuichi HATANO1, Lechen SHEN1, Takenobu TSUCHIYA2, Nobuyuki ENDOH2

1神奈川大学大学院工学研究科, 2神奈川大学工学部

1Cource of Engineering, Graduate School of Kanagawa University, 2Faculty of Engineering, Kanagawa University

キーワード :

【目的】
近年,音響放射圧を用いる生体組織弾性診断法や,HIFUに代表される集束超音波照射による治療法が開発されているため,超音波照射による生体内の温度上昇を正確に知ることが重要となっている.生体内の温度は,血流による熱搬送効果によって普段は一定に保たれている.超音波照射時に生体組織の温度が上昇するが,肝臓などの生体組織は毛細血管の灌流によって全体的に温度低下するのと同時に,動脈や静脈のような大血管によって局所的な温度変化すると考えられる.そこで,本研究では,焦点近傍に大血管がある場合の集束超音波照射による生体ファントム内の温度上昇を推定した.特に,血液の速度による温度変化を確認することを目的とした.
【方法】
本報告では,三次元FDTD-HCE法に血流の効果として移流項を加えた手法を用いて解析を行った1).解析モデルを図1に示す.まず,生体ファントムの初期温度を37℃に設定した.次に,周波数1 MHzの集束音源を用い,水中での超音波強度ISPTA=1.0 W/cm2の超音波強度を10分間照射したときの温度上昇解析を行った.生体ファントム内での焦点はz軸方向に60 mmとし,焦点と大血管中心までの距離をy軸方向に6 mm,血管直径を6 mmとし,血液の流速vを0.0〜0.5 cm/sに変化させて解析を行った.
【結果】
音場分布と発熱量分布は,血管によって変化しないことを確認した.よって,生体ファントム内の温度低下は血流による熱搬送効果のみの影響といえる.生体内のx-y平面の温度分布を図2に示す.図2より,x軸方向に熱が移動していることにより,血流によって熱搬送されたことを確認した.さらに,血流によって搬送された熱が拡散され,搬送された先の血管近傍の温度が上昇した.血流の速度と焦点の温度上昇値の関係を図3に示す.図3より,血流が0.0 cm/sのときに焦点は約0.2℃の温度上昇が起きた.また,焦点の温度は,血液の流速が速くなるにつれて低下していくが,ある程度の流速になると超音波による温度上昇はほぼ観測できなくなった.
【結論】
本解析では,三次元FDTD-HCE法を用いて生体ファントム内の温度上昇時における血流速の影響を調べた.以上の結果より,血流速の影響を確認した.
【参考文献】
1)Shimizu K, et. al., Jpn. J. Appl. Phys. 54,07HF22,2015.