Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
工学基礎 超音波治療

(S558)

受音面をチタンとした堅牢型ハイドロホンの開発‐HIFU音場の測定‐

Development of tough hydrophone using a titanium front plate‐Measurement of high intensity focused ultrasound field−

椎葉 倫久1, 岡田 長也2, 内田 武吉3, 竹内 真一1

Michihisa SHIIBA1, Nagaya OKADA2, Takeyoshi UCHIDA3, Shinichi TAKEUCHI1

1桐蔭横浜大学大学院工学研究科, 2本田電子株式会社研究部, 3産業技術総合研究所計測標準研究部門

1Graduate School of Engineering, Toin University of Yokohama, 2Department of Research, Honda Electronics Co. Ltd., 3Advanced Industrial Science and Technology National Metrology Institute of Japan(NMIJ), AIST

キーワード :

【背景】
今回,我々はキャビテーションの発生を伴う高強度音場の測定をしても壊れにくいハイドロホンを開発したので報告する.近年,HIFU(HITU)やソノポレーションなどの高強度超音波を用いた治療法が普及しつつある.これらの超音波治療機器の性能や治療法を標準化するためには,装置が放射する超音波の強度や時間波形,空間分布などの測定が必須である.しかし,従来,そのような強力な超音波御音場を計測することは,困難であった.ハイドロホンを使用すると電極が損傷を受け,天秤法による超音波パワーメータを使用する場合には20Wを越えると受圧板を損傷してしまうと言った問題があったためである.そこで,我々は,チタン製の前面板の裏面に水熱合成PZT多結晶膜を成膜することで,このような問題を克服して,高強度超音波を放射する超音波治療装置が形成する音場を計測可能な耐高音圧ハイドロホンの開発に挑戦してきた.今回は,音響キャビテーションの発生する高強度超音波でも壊れにくい堅牢型ハイドロホンの現状について報告する.
【ハイドロホンの構造】
堅牢型ハイドロホンは受音面をチタンとしている.水熱合成法を用いてチタン受音面の裏面に圧電素子であるPZT多結晶膜を成膜し,PZT成膜面にバッキング材を取り付けた堅牢型ハイドロホンを作製した.バッキング材には受波感度の周波数特性の改善を目的としてチタン棒を使用した.バッキング材の音響特性インピーダンスは約27 MRaylである.
【方法】
音源として用いた直径100 mmで共振周波数1.75 MHzの凹面型集束超音波振動子(富士セラミックスC-6材)の焦点付近の出力波形を我々が作製した従来型と新型の堅牢型ハイドロホンで測定した.また,このHIFU音源を模擬した凹面型集束超音波振動子に印加電圧235 Vp-pを印加した際の焦点の音場パターンを測定した.
【結果と考察】
HIFUを模擬した集束音場で測定した音場パターンをFig. 1に示す.今回作製した堅牢型ハイドロホンを用いて,集束音場での音場パターンを測定可能な事を確認できた.また,このハイドロホンは集束音場の焦点付近において1〜3分の連続照射を6回,延べ14分間照射しても感度低下しなかった.