Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
工学基礎 画像化技術

(S555)

位相差トラッキング法を用いたプローブ位置の追尾

Probe Position Tracking using Phase Tracking Method

近藤 祐司1, 村山 真実2, 須藤 孝紀3

Yuji KONDO1, Makoto MURAYAMA2, Takanori SUDO3

1東北大学大学院工学研究科, 2東杜シーテック株式会社テクニカルセクション.3, 3株式会社ISTソフトウェア仙台システム部

1Department of Electronic Engineering, Tohoku University, 2Technical Section.3, Tohto C-tech Corporation, 3Sendai System Dept., IST Software Co.,Ltd.

キーワード :

【目的・背景】
3D画像を得るためにはメカニカル走査方式の専用プローブや2Dアレイプローブを用いるか,磁気センサーなどの位置検出機構が必要である.フリーハンド走査で3Dデータを取得するには自立的なプローブ追尾が必要になる.位相差トラッキング法を用いることで血管位置のリアルタイム追尾が行なえることが知られているが1),任意組織からの反射信号をトラッキングすることでプローブ自体の動きを追尾することが本研究の目的である.
【方法・実験】
位相差トラッキング法は,パルス送信された受信波相互の位相差から音原の移動距離を算出し,移動距離に応じてサンプル点を逐次変更することで音原を追尾する方法である.通常はプローブを固定して血管壁などの移動音源の追尾を行うが,固定された音源に対してプローブを移動することでプローブの移動を追尾できると考えられる.超音波ファントムを用いて任意部位をトラッキングの初期点と定め,プローブの水平方向移動に対してトラッキング可能かどうかを実験によって確認した(図1).装置は血管弾性検出用に作成したシングルプローブの試作装置である.振動子は径7mm,中心周波数7.5MHz,60MHzでサンプルされたRFデータをUSB接続にてPCに取り込みソフトウェアーで信号解析を行った.ファントムはATS539を用い,音速1452m/s,減衰率0.5dB/cm/MHzである.深さ5,10,15mmの位置をトラッキングの初期位置とし,ファントムに対してプローブを0°,5°,10°,15°,20°の角度にして1mm刻みで平行移動しながらトラッキングを行った.
【結果・考察】
深さ10mm点でのトラッキング結果を図2に示す.0°の角度ではプローブの移動に伴う位相変位は見られず,角度をつけるとプローブの移動に伴い位相変化が生じる.逐次の位相変化量は角度の増大とともに大きくなり,位相変化量からプローブの移動距離を算出し,これを設定角度の余弦で補正すると実際の移動距離と良く一致した.以上より,適度な角度を持ってプローブを平行移動すれば位相差トラッキング法によってプローブの移動を追尾することが可能であることが確認された.深さ方向の変化に対して位相変化はより敏感になるが,3方向の超音波ビームを用いることで3軸方向の移動に対する追尾が可能であるから,位相差トラッキング法を用いることでプローブの自立的な追尾の可能性が示唆される.
【参考文献】
1)村山他:日超医第87回学術集会,87-基礎-036,2014