Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
工学基礎 画像化技術

(S552)

超音波減衰イメージングのための送受信条件最適化に関する考察

A consideration on the optimum Tx/Rx conditions for ultrasound attenuation imaging

大栗 拓真, 神山 直久, 橋本 浩, 加藤 生, 島崎 正

Takuma OGURI, Naohisa KAMIYAMA, Hiroshi HASHIMOTO, Sei KATO, Tadashi SHIMAZAKI

GEヘルスケア・ジャパン超音波製品開発部

Ultrasound General Imaging, GE Healthcare Japan

キーワード :

【背景と目的】
これまでに,減衰を推定して脂肪肝を評価する種々の手法が報告されている.実用化例としては肝硬度計測装置(Fibroscan)の付加機能(CAP)があるが,これは画像診断装置ではなく専用プローブが必要である.本研究では,汎用型超音波画像診断装置を用いて脂肪肝の減衰定量機能の開発を目的とし,生体組織の減衰係数の推定に適した手法および送受信条件について検討した.
【方法】
既存の推定法であるreference phantom method[1](以下RPM)とtwo frequency differential method[2](以下TFDM)により減衰係数を推定し,推定精度を比較した.また,送受信パルス波を1.5,2.5,5.0波と変化させて減衰係数を推定し,推定精度を比較した.減衰係数が0.5,0.7 dB/cm/MHzと異なる肝臓模擬ファントムを対象とし,超音波画像診断装置(LOGIQ S8)と3.5 MHzコンベックスプローブ(C1-6-D)にてエコー信号を取得した.送受信周波数は,RPMでは3.0 MHz,TFDMでは2.5,3.5 MHzに設定した.各手法にて音場特性を補正した後,関心領域を走査させて得られた局所的な減衰係数を再配置することで2次元マップを作成した.
【結果と考察】
各手法とも,収束音場とレンズ音場による不均一性が補正され減衰量をあらわす勾配が比較的良好に観測できた.各手法にて推定された減衰係数の平均値と標準偏差を表1に示す.また,5.0波の結果を用いて作成した2次元マップ例を図1に示す.結果より,各手法において5.0波による推定の精度が最も高かった.これより,周波数減衰の観測には狭帯域送受信が有利であることが示唆される.また,RPMの方が推定精度が高かったが,これはTFDMで用いた2周波数の差(1.0 MHz)が減衰の観測には不十分であった可能性もある.
【結論】
送受信条件を最適化し音場特性を補正することで,汎用型超音波診断装置を用いて脂肪肝の減衰係数を推定できることが示唆された.
[1]Yao LX et al. Ultrasonic Imaging, 12(1):2316-2324,2011
[2]Jirik R et al. J. Elec. Eng., 55(7),2004